校長ブログ
日本酒
2025.04.22
教科研究
4月22日
和食ブームを背景に注目が集まり、各地の酒蔵が日本酒の輸出拡大を進めています。昨年の輸出量は、米国や中国などを中心に10年前に比べ9割増加したとのこと。日本酒を広めることは地域ならでは歴史や文化の発信だけでなく、訪日客へのPRにもつながります。
日本酒の輸出はコロナ禍の影響があったものの、増加傾向。国税庁の調査(2023)によると、都道府県別では兵庫県が最多であり、京都府、山口県が続きます。
全国6位の岐阜県はニューヨークや香港、欧州で日本酒のPRイベントを開催。大垣市にある三輪酒造は「にごり酒」を主に約20カ国・地域に輸出しています。訪日客の取り込みも見据えて、日英仏中の4カ国語で県内45蔵を紹介するカタログを作り、酒蔵見学ツアーの事業化を検討しています。また、採用を決定するソムリエを試飲会に招くなど、取引につながりやすくする企業努力も重ねています。
山口県では「獺祭」のブランドで知られる岩国市の旭酒造がすでにニューヨーク州に酒蔵も開いています。売上高のうち約4割を輸出が占めており、酒蔵としては日本一だそうです。同社は国内でシェアを争うのではなく、海外に進出することによって、マーケットそのものを拡大することをめざしています。6月には社名を「獺祭」に変更し、さらにブランド力を高めるようです。
宮城県は欧州を中心に、MIYAGI STYLEと題した販促を展開するとのこと。これまでならアジアの市場を想定していたものの、欧州で認知されることがブランド力向上につながると判断されています。すでに、欧州でソムリエ向けの試飲会を開催し、イタリアでは取引のある飲食店が広がったのを機に、今後はスペインでも展開するとか。
日本の「伝統的酒造り」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されています。併せて、和食の広がりもあり、酒蔵が輸出に目を向ける可能性も想定されます。徳岡昌文氏(東京農業大学教授)は酒蔵の多様さを認めつつ、小規模だと継続性という点で課題があることを言及しつつ、ITの進化で言語や距離が縮まっている今、酒蔵が自ら現地で伝えられるようなサポートの必要性を説いています。この分野にもグローバル化の波が押し寄せているのです。