校長ブログ

タイパ時代の映画

2025.03.31 トレンド情報

3月31日

 これまで映画の時間は、上映回数を増やすため、2時間前後が一般的とされてきましたが、最近では長くなっているとのこと。10年前と比べると、約13分長くなり、2時間半以上の映画が全体の約4分の1を占めているそうです。

DSC09388.JPG

 時間短縮を重視するタイムパフォーマンス、つまり、タイパに反するように映りますが、これは時間感覚が一面的には捉えられないことを意味します。

 2時間半以上のものとしては、アメコミ原作作品である『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』や人気シリーズである『ミッション・インポッシブル』『ジョン・ウィック』などが代表格。ライターである速水健朗氏は『アイリッシュマン』などを長時間化の先駆けとみなしています。ふつう、映画は、公開されている間、上映回数を増やして利益を出そうとするもの。プロデューサーは145回は上映できるように2時間前後で作品を作ります。

 しかし、『アイリッシュマン』のように、メンバーシップ制でインターネットに接続したデバイスで視聴できるものは映画館での収益化をねらっていないため、上映時間を気にせず、約3時間半の作品となっています。

 アカデミー賞にノミネートされた映画の歴史をひもとくと、192040年代は2本併映の90分映画が多く、195060年代中頃は『ベン・ハー』や『アラビアのロレンス』のように3時間を超えるものが流行していたという史実もあります。

 上映時間が2時間くらいになるのは、テレビ放送枠に収まりやすい娯楽作品のヒットが続いた1960年代以降です。有名なのがスティーブン・スピルバーグの作品。テレビによって知名度は上がり、集客が可能になります。1970年代半ばになると、映画と野球の録画の2時間枠が定着することになります。

 動画コンテンツを倍速視聴する人が増えているという調査もあります。その意味で、昨年、上映時間を58分にして公開され、ヒットした映画『ルックバック』は時間短縮にマッチしたものと言えます。稲田豊史氏は著書『映画を早送りで観(み)る人たち』の中で、倍速は使い分けられているとし、事前に予想できるものは一気見するものの、好みの役者やキャラクターが出るものには長時間かけた方が得だと思う人も少なくないと指摘されています。つまり、楽しめるものなら1日かけても見たいと思うのが消費者心理であることを言及されています。