校長ブログ

新しい学校のかたち

2025.03.26 カリキュラム・マネジメント

3月26日

 日本では1872年(明治5年)に学制が公布、学びが民主化されました。大衆が学ぶ機会を得てから約150年が経ったことになります。その中で、様々な学校が個性豊かな取り組みをしています。

DSC09448.JPG

 学生が世界7都市を移動しながらオンライン授業で学ぶミネルバ大学の日本代表理事 を務め、米国の小学校で自由な表現や自発性を重視するモンテッソーリ教育を受けた坂江裕美氏は、大は認知科学に基づくカリキュラムによって批判的思考など、80種類に整理した能力を身につけ、授業外で活かすことを重ねるので、自己効用感が高まるとおっしゃっています。

 実際、大学では「日米学生会議」に参加し、議論していくうちに、教育への興味・関心が高まったそうです。大切にされているのが、自主性と一歩を踏み出す行動力、そして、日本の強みである謙虚さ、現場主義、近江商人の商道徳「三方よし」だとか。

 ミネルバの学生は、災害とエネルギー、人口減など課題の多い日本を豊かな学びと捉え、京都、広島、沖縄、東北・四国地方などを訪れ、データを収集、住民にインタビューすることでワクワク感を共有しながら最適解を見つけていくそうです。

 経済産業省の教育産業室長であった五十棲浩二氏は、起業家育成を掲げ、「モノをつくる力で、コトを起こす」ことを理念とし、1学年約40名で全員無償、徳島に開校された全寮制の神山まるごと高専の校長となり、社会全体で次世代の人材を育てる「共助」の充実を訴え、企業との連携授業を推進しています。

 地域との触れ合いも大切にし、学生は地元でとれた食材を口にし、季節の祭りに参加、人手不足のコンビニや飲食店でアルバイトをし、農作業を手伝うとのこと。また、水中ドローンの研究を進め、徳島大学と連携したり、世界的なロボット競技会に挑んだりしています。

 楽天グループ共同創業者であり、公立中学の校長などを経て、軽井沢風越学園を開校した本城慎之介理事長は、高校3年間で「同じ色、同じ形、同じ甘さのリンゴが実る工場」のような学校ではなく、学びとは探究であり、幼小中の12年で挑戦と失敗を繰り返し、好奇心の火を照らしながらじっくり学びの火を育てたいと述べられています。 

 学校のかたちは多様性に富んでいますが、いつの時代も画一的になった学びを再定義し、新たな視点で選択肢を広げる努力が積み上げられているのです。