校長ブログ
最大素数
2025.03.18
教科研究
3月18日
素数の記録が更新されました。6年ぶりです。素数は数の原子とも言われ、無限に存在しますが、巨大な素数の発見は難しく、数学最大の未解決問題であるリーマン予想などを生み出しています。
クレイ数学研究所(米)によって発表された数学7つの未解決問題があります。7問のうち、ポアンカレ予想はロシアの数学者グリゴリー・ペレルマン氏によって解決されました。その他、リーマン予想、P対NP問題、ホッジ予想などの6問は未解決のままとなっています。
素数は1とそれ以外では割り切れない自然数であり、小さい順から2、3、5、7、11と続きます。自然数はそれより小さい素数のかけ算に分解でき、これが素因数分解。インターネットに必要なRSA暗号は素因数分解の性質を活用しています。
紀元前300年頃の古代ギリシャでは、素数が無限に存在することは証明されていましたが、現在まで素数の並び方の性質は解明できていません。巨大な素数を探るプロジェクトGIMPSが昨年、史上最大の素数を発見したと発表しました。それは2の1億3627万9841乗から1を引いた数であり、4102万4320桁という膨大さです。2018年に発見された最大素数より1600万桁以上多く、記録を更新しました。
素数の一部は、2のn乗から1を引いた数と表すことができます。(メルセンヌ素数)例えば、3、7はそれぞれ2の2乗、3乗から1を引いた数ですが、これまで51個しか見つかっていませんでした。巨大なものを発見するにはコンピューターの力が不可欠です。今回の発見はAI向けの画像処理半導体で著名なエヌビディア(米)の元従業員だとか。世界17カ国にある数千台のGPUサーバーをつなぎ、高速計算を行ったそうです。
最大素数の発見に実用的な意味はほとんどないと言われますが、数学の中で最大の難問といわれるリーマン予想の解決への一助になったこと。数学者がリーマン予想の解決を目指す中、研究成果は日進月歩であり、新たな定理が多く生まれています。リーマン予想が解決すれば暗号解読が可能になるほど、数学への影響は大きなものになると期待されているのです。