校長ブログ
ヒト・モノ・カネ
2025.03.21
教科研究
3月21日
世界のヒト・モノ・カネの流れをみると、移民先が米欧だけではなく、先端テクノロジーや投資もグローバルサウスに向いているのがわかります。
世界の移民は、2020年で約2億8000万人。受け入れ国トップは米国であり、約5000万人。欧州の約8700万人とあわせて半数近くを占めていました。移民の2億人近くが新興国であり、インドが約1800万人、メキシコや中国も1000万人を超えていました。しかし、ここ10年、増加幅が大きいのが中東の多くを含む西アジアや中南米、アフリカでの移動になってきました。
移住先が米欧圏から移りつつある背景として、主要都市の生活費を比較できるウェブサイト「Numbeo」のムラデン・アダモビッチCEO(最高経営責任者)は、新興国の経済成長に加え、リモートワークの普及などが米欧志向を弱めたのではないかと述べられています。
企業の投資、つまり、カネの流れもかつては米欧企業が中心でしたが、中国と香港など、東アジアへの投資が目立ちます。また、中南米も東南アジア、中国への投資を増やし、東南アジアの投資先では、欧州に次ぎ自地域、中国、インドが伸びています。
先端技術からモノも生まれています。UNCTAD(国連貿易開発会議)によると、情報通信関連のモノの貿易は、輸出入(2022)ともに中国が世界トップ。東南アジア・東アジアが台頭しています。ソフトウエアでも同様。
ヒト・モノ・カネの流れだけでなく、AIが人間の能力に迫る中、世界中で働き方が変わり、技術進化を加速させています。価値観も変化しており、幸福度を回答する調査では、英国やドイツなど民主主義国で下落傾向が目立つ半面、中国やフィリピン、インドネシアでは高まっているとのこと。ピュー・リサーチ・センターの米国・中国の好感度調査では、日本、英国などは米国を選ぶ比率が中国より20ポイント以上高い一方、タイ、マレーシアなど新興国は中国との回答が多かったそうです。