校長ブログ
ゴミ問題
2025.03.12
教科研究
3月12日
ゴミ収集に関する問題があります。近年では戸別にゴミが出されるので、集積所が増加しています。高齢者にとっては手間が減りますが、現場作業員の負担は増し、今度は人手の確保に苦しむ地域が続出するといったケースが発生するわけです。自治体はゴミ収集の効率化や自動化を進めています。
国立環境研究所によると、自治体あたりの共用の集積所数は平均で約3,700カ所(2019)と5年で8%増えています。原因は、住宅地の開発や住民が管理しやすい小型のごみステーションの増加などです。併せて、戸別収集も拡大しており、集積所がさらに増加している可能性があります。
戸別は住民から好評である一方、収集にかかる時間が共用集積所の2〜3倍になり、現場の労働負荷は強まっているのが現状。例えば、北海道室蘭市。人口は減少し続けているにもかかわらず、集積所は微増しています。市内に約6,000カ所あり、3分の1を戸別が占めています。作業員の平均年齢は45〜50歳ほどで、売り手市場では3Kや5Kと呼ばれる仕事をしたい人は地方にはいないとのこと。共用集積所の他、要介護者など、ゴミ出しが困難な方への対応も増えており、作業負担の軽減は戸別を始めていない地域でも大きな課題となっています。
埼玉県春日部市は、毎年約100カ所ずつ共用集積所が増えており、ゴミ収集のDX化に向けた実証実験を始めています。具体的には、作業員の記憶に依存していた集積所ごとの収集状況を自動で記録するシステムを導入しているとか。車に載せたタブレットの地図で確認でき、取り忘れを防ぐというもの。集積所の情報をカーナビのように表示できれば、作業員も仕事に慣れやすいというメリットがあります。
海外ではオランダでロボットアーム付きの収集車が活躍するなど、自動化が進んでいます。国内でも三菱ふそうトラック・バスが前を歩く作業員を自動追尾する収集車の開発に取り組んでいます。行政改革に伴い、清掃職員が減り、委託を増やさざるを得なかったことで現場の実情を把握しにくいということもあり、自治体も苦戦しています。
ゴミ問題は他にもあります。清掃工場の老朽化がその一つ。建て替えが必要な一方、建設費が高騰し、自治体の財政を圧迫しているのです。不燃ごみなどを埋め立てる処分場の満杯も近づいています。財源確保に向けて、指定ごみ袋などで収集を有料化する取り組みも始まっています。米国の一部では民間事業者が契約者の自宅に有料でごみを回収しに回るなど、収集方法も様々。環境省によると、2022年度の年間ごみ排出量は東京ドーム約108杯分に当たる4034万トン、1人1日当たりだと880グラムだそうです。