校長ブログ
デジタル教科書
2025.03.08
EdTech教育
3月8日
デジタル教科書の活用に関する検討課題が提示されました。デジタル教科書が学習の効率化や個別最適な学びに直結するというメリットが期待される一方、紙の教科書の継続を望む声もあるのは事実。デジタル教科書を正式なものとして位置づけるか否かや、紙との併用について、さらなる議論を求めています。
中央教育審議会に論点案が示され、秋にはデジタル教科書のあり方や推進策について検討を開始するとのこと。次期学習指導要領が実施されることも見据えた議論となるはずです。
文科省は小5から中3を対象にデジタル教科書を導入し、英語はすべて、算数・数学は約6割の学校に提供しています。図や写真の拡大表示、音声の読み上げといった機能があり、文科省の調査(2024)によると、小中の教員の6割以上が授業の4回に1回ほど活用しているとのこと。
学校教育法では、紙の教科書だけを正式なものとして認めており、デジタル教科書は紙の代替との位置づけになっています。紙と同内容を電磁的に記録したものと定義されており、検定も実施されていません。文科省は当面の間は紙とデジタルを併用するとしています。
海外では、すでに映像やアニメーションを加えるなどしたデジタル教科書が使用されており、その効果が報告されています。日本でも英語の発音を音声で確認するといった取り組みが広がっており、学習障害のある児童や生徒、あるいは外国ルーツの子どもが学びやすくなったという実践も展開されています。
デジタル教科書を正式なものとすると、国公私立を問わず義務教育の学校に無償給与され、教科書はデジタルのみで学ぶことが可能になります。しかし、紙の教科書を希望する声もあるのは事実。文科省によると、デジタルと紙で記憶しやすさは変わらないとする分析はありますが、紙の方が適しているとの研究もあるとのこと。また、デジタル教科書は視力低下や通信トラブルなどの懸念もあります。
いずれにせよ、デジタル教科書は内容を更新しやすいという利点はありますが、検定が複雑です。現実的にはデジタルと紙の教科書の併用が落としどころでしょうが、ハイブリッドな形態の教科書としたり、学年や教科によって使い分けたりする工夫が必要です。やはりポイントは、「教えやすく、学びやすく」であることは共通の思いではないでしょうか?