校長ブログ

大学教育の質

2025.03.07 大学進学研究
3月7日

 文科省は第三者が審査する大学の認証評価制度を見直す方向性を示しました。学修の進捗状況や具体的な成長過程など、教育の質を測る指標をつくり、段階的に評価するそうです。偏差値やイメージで大学を決めるのではなく、教育内容を比較して受験先を選べるようにするのがねらいです。大学全体の質の向上につなげる自助努力は当然のことであり、評価が低ければ改善が求められ、状況によっては募集停止を促すこともあるそうです。

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 大学新設の規制が緩和されたことによって、教育の質を担保するために認証評価制度がスタート。国公私立を問わず、すべての大学はそれぞれ7年に1度、文科相が認めた認証評価機関による書面審査、大学執行部や学生への聞き取りなどの調査を受けなければなりません。

 内容的には、成績評価や単位認定が適切に行われているかどうかという基準に照らして審査されます。結果を報告書としてまとめ、大学として適合か不適合かも公表されます。しかし、不適合とされるのは、法令違反など重大な問題があった場合だけであり、教育の質が判断しにくいという指摘があるのも事実。

 これまでは大学のイメージや規模以上に、入学者の学力水準を示す偏差値に左右されてきた感があります。答申案では評価のための評価から脱却し、教育や研究の質を高めるための抜本的見直しが強調されています。文科省は新たな認証評価では、在学中にどれくらい力を伸ばしたかといった指標をつくり、結果を数段階で示す方針だとか。

 最近ではシラバスの内容を実行できているかどうか、学生の将来の希望に応じた講義を履修できているかどうか、生徒の予習・復習の有無の確認なども検討項目となっています。併せて、情報を簡単に提出できるデータベースを整備し、教員の負担軽減も視野に入れています。ちなみに、英国では、教育内容、フィードバックへの満足度、学生の成果や就職率などを指標とし、教育の質を「金、銀、銅」の色で格付けしています。大学の入学定員が現状のままだと、2050年には定員充足率が7割程度に落ち込むと言われる中、教育の質こそが生き残れるキーワードなのです。