校長ブログ

AI論文

2025.03.05 EdTech教育
3月5日

 中国がAIの研究で米国を猛追しているとか。世界レベルの国際学会であるNeurIPS(ニューリプス)、ICML、ICLRに採択された論文約3万本のうち、著者の数が多いトップ10の機関に中国が4つ入り、生成AIでの開発は米国に匹敵する勢いとなっています。今や、世界のAI研究は米中が主軸となっているのです。

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 上記の学会には毎年数万本の論文が集まり、専門家の審査を通過して採択されるのは23割程度。2024年にノーベル物理学賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏らも論文を発表した模様。国別に見ると、首位の米国は1万4,7662位の中国は8,491名とのこと。中国は急速に研究力を高めており、4年間で8倍に躍進しています。機関別では、米国は6機関がトップ10入り、1位のグーグルはじめ、スタンフォード大学、マイクロソフト、メタなども名を連ねています。

 かつては米国1強の感がありましたが、中国は2位に清華大学、6位に北京大学がランクインし、4機関がトップ10入り。中国は2030年にAI分野で世界をリードするという「次世代AI発展計画」を策定し、国レベルで研究を進めています。 また、名門の清華大や北京大などは論文著者数を34倍に増やし、浙江大学はアリババ集団と提携し、AI専門の研究所を新設しています。さらに、米国で研究を積み、世界レベルの研究能力を身につけた研究者が論文を書くなど、人材の移動もあります。その他、12位のシンガポール国立大学、13位の韓国科学技術院、日本は50位圏外で、理化学研究所が64位、東京大学が71位となっています。

 日本も数を増やしていますが、伸びはそれほど大きくありません。ちなみに、トップの理研は188人、東大は171人となっています。背景にあるのは、海外に出て研究を進める人が少なくなっていること、また、海外の高度人材を受け入れる体制がまだ十分でないことなどがあります。やはり、海外との共同研究を増やすことが不可欠なのです。

 日本政府は「AI戦略」を策定し、省庁横断で研究開発を支援しています。経産省はグーグルなどのAIの開発基盤を借り上げて、東大や国内のスタートアップに無償で提供する事業に取り組んでいます。最新のAIを研究には、計算機や人材確保が求められるため、産官学協働は不可欠であることが指摘されて久しいものがあります。日本が世界基準の研究成果を出してくれるのが期待されます。