校長ブログ
はたらくフリースクール
2025.02.15
トレンド情報
2月15日
大阪市の商業施設で不登校傾向にある児童・生徒に働く体験をしてもらう試みがありました。主催したのは若者の就労支援をしているNPO法人ハローライフ。企画の目的は、働く人や客と接することによって、仕事や社会とのつながりを考えるきっかけを与えることであり、参加したのは小4から中3までの約80人です。
「はたらくフリースクール」と称し、商業施設キューズモールと両施設内の15店舗が協力し、事前学習も実施したとか。参加した子どもたちは5班に分かれ、4週間で週に1回、決まった曜日に施設に通い、そこで仕事について学んだり、考えたりした後、店や施設でスタッフと一緒に仕事を体験しています。
具体的には、飲食店ではお茶の用意や食器の片付け、衣料品店では商品運びや服の整理などを担当させてもらっています。受付では案内の接客やベビーカーの貸し出し用意に加え、ウェブ広報に使う動画の撮影補助なども学習したとのこと。
振り返りでは、従業員に褒められ、お客さんからお礼を言われて嬉しかった、一人でできないことも皆と協力して解決できた、小さな失敗は怖くないと感じたなど、様々な成長実感が確認されています。不登校になった原因や理由は千差万別ですが、人と接するのが苦手で学校やクラスになじめなくなった子供、あるいは、家で一人でゲームなどをして過ごしている子供が多いようです。
ハローライフの代表理事である塩山諒さんは、自ら小学校時代に体罰を受けたのをきっかけに学校に通えなくなったそうです。しかし、当時、暮らしていた尼崎市に不登校児の自宅に仕事をしている大人を派遣する施策があり、訪れたお笑い芸人らに連れ出された記憶があり、それが希望の光につながり、やがて就労支援のNPO法人を設立するに至ったとか。
かつては登校拒否と言われ、学校も親も子どもを学校に戻すのに注力した時代がありました。しかし、今は無理して学校に行く必要はないと考える親が多くなりました。学びの選択が可能になり、不登校の子どもの居場所の受け皿も増えていますが、やがて社会で生きていかなければならないことを考えると、仕事や社会と接する機会がよい体験になることは言うまでもありません。
小中学生の不登校が34万人を超え、過去最多を更新しています。産官学の協働を通じて、不登校が引きこもりにつながらないようにする試みは時代の要請と言うべきものなのです。