校長ブログ
高水準の外国人材の来日
2025.02.11
グローバル教育
2月11日
海外ルーツの人々の来日が激増しています。アジアの新興国では教育水準が上がっているものの、働く場所が不足し、先進国をめざす動きが強まっています。海外に移住した労働者は約693万人(2023)であり、10年前から2割増、過去最多となりました。現在、日本では人手不足であり、周辺国・地域からの受け入れを進めています。今や、世界では受け入れ可能な国を舞台に新たな競争が生み出されつつあるのです。
例えば、ネパール。1人当たりGDP(国内総生産)は1,324ドル(約20万円、2023)と20年間で5倍になっています。年に50万人が大学などを卒業しますが、国内には10万人分の雇用先しかないそうです。国内では大学進学率が上がっていますが、その水準に見合う仕事が限られるため、海外に出て行かざるを得ない状態です。ちなみに、フィリピンでは最多となる233万人が出国しています。
国立社会保障・人口問題研究所によれば、経済が成長し、教育の水準が上がれば、十分な収入や働きがいを求めるようになり、コロナ禍の反動もあり、先進国をめざす動きが強まっているとのこと。新規入国者数(2024)では、高度人材が対象の在留資格「技術・人文知識・国際業務」と「技能実習」「特定技能」の合計は22万7千人に上り、最多であった27万人(2023)に迫る勢いです。
歴史的に、労働市場のグローバル化が進んだのは19世紀以降。困窮を回避しようと欧州から数千万人が欧米に押し寄せたのは周知の通りです。しかし、現代のアジアの新興国は状況が異なり、困窮というよりは条件のよい仕事や豊かな生活を求める若者が増加しています。満足できる仕事が見つからなければ海外へというのがトレンドなのです。
日本は出入国管理法を改正し、3年程度での帰国を前提とした技能実習を「育成就労」に改め、長く働きやすい環境を整えました。しかし、インフラや手続き面の不備が原因となり、入国を志望する者の障壁となっているという事実もあります。合計特殊出生率が0.72となった韓国は非熟練者の受け入れ上限を10年代の6万人前後から24年は16万5千人に引き上げ、台湾も非熟練者の業種を広げています。
アジアから来日を希望する若者は、少子高齢化の進む日本にとって欠かせない存在であることは言うまでもありません。学校でも同様であり、学びの保証と安心・安全の環境づくりが最大のポイントなのです。