校長ブログ
共通テストの分析②:英語リスニング
2025.02.01
教科研究
2月1日
リスニング問題は出題形式に大きな変更があり、第5問では2人の発言を聴き、答える形式になりました。試作問題をベースにしています。また、第6問Bでは4人から3人の会話になりました。スクリプトの語数は約100語増加し、約1,600語。設問および選択肢などの総語数は昨年とほぼ同じ約700語でした。第1問~第3問には全体配点の約60%が与えられています。読み上げ回数は第1問と第2問が2度、第3問~第6問は1度でした。イラストやグラフ、表が多用されており、目的に応じた思考力・判断力が求められています。4択問題が中心であることは変わらず、内容的には比較的平易なものでしたが、ワークシートを埋める問題や3人の話者のうち特定の意見をもつ人数を答える問題など、工夫が見られました。新課程になっても音声を正確に聴き、それを他の表現に言い換えたり、図表を正しく読み取り、聴き取った情報と合わせて判断する力は不易流行。一部の問題で、イギリス英語や英語を母語としない話者による音声が含まれていました。
第1問のAは短い発話(スクリプト54語)を聴き、内容と一致する選択肢を選ぶ問題が4問。発話された内容を1文で言い換えたり、状況を把握し、要約する力が求められました。Bでは時計の色や形、釣った魚の量と入れ物のサイズに関する短い発話(スクリプト64語)を聴き、内容と合っているイラストを選ぶものが4問でした。イラストの違いがはっきりしているため、推測しやすい内容となっていたのも事実。しかし、直接的な表現がなく、文脈から判断しなければならないものもありました。設問数が3問から4問に変更になり、読み上げ速度がやや速くなった感があります。
第2問は2人の人物の短い対話を聴き、地図を見ながらルート確認しながら内容に合致するイラストを選ぶというもの。場面の説明とイラストを参考にしながらポイントを聴き取る力が求められました。設問数は4問から3問になり、本文に対して問われている内容が比較的直接的に表現されており、対話の場面も日本語で書かれているため、状況把握の負担が軽減されたかもしれません。しかし、値段に関する情報が音声では間接的に表現されていたため、思考力が問われました。
第3問は、短い対話(スクリプト304語)を聴き、問題冊子に書かれた設問の答として最も適切なものを選ぶ問題。日本語で書かれた対話の場面を参考にすれば、ある程度は内容を想定できるはず。印刷された英語の質問の要点を把握する力が求められました。正確に聴き取ること、聴き取った内容を他の表現に言い換える力が不可欠です。例えば、day after tomorrowをIn two daysに置き換えるなどがその典型。なお、イギリス英語話者と思われる発話がありました。
第4問Aのモノローグ(スクリプト166語)は、イラストを並べ替える形式からグラフを用いた形式に戻りました。折れ線グラフを読み取る問題は、数値の計算が必要ないので解きやすかったはず。天気予報の表を完成させる問題では選択肢の多くが言い換えられています。グループの発表を聴き、グラフを完成させる問題と天気予報を聴き、表を完成させる問題がありました。グラフ完成問題では、グラフの増減を聴き取る必要があり、表を完成させる問題では、表のどの部分を説明しているのかを把握することが求められました。問題によっては、選択肢を2回以上使ってもよいという指示がありますが、実際、そのような選択肢はありませんでした。Bは4人の発話(スクリプト181語)を聴き、サーフィンをする海を決める問題。4人の中にはイギリス英語の話者が含まれていました。また、天気予報の表を完成させる問題があり、選択肢の多くが言い換えられていました。
第5問(スクリプト371語)は試作問題(2022)の第C問と同じ形式で、講義を聞いた後に要約したり、ディスカッションしたりするものでしたが、パラグラフ・リーディングできれば解答できるものばかり。もらったプレゼントを他の人にあげることに関する講義を聴き、ワークシートを完成させる問題に加え、人物の発言が一致しているかを判断する問題、図表および講義を元にした会話の内容と一致する英文を選ぶ問題が出題されました。ワークシートの内容をもとに6つの選択肢の意味を分類しておくと解きやすかったと思われます。なお、選択肢を2回以上使ってよいという指示がありましたが、実際、そのような選択肢はありませんでした。また、4つの選択肢を読み分ける形式から2人の発言を聴き取る形式に変わりました。昨年までの講義の続きを聴くという形式から、ディスカッションを聴き取り、どのようなことが言えるかという形式に変わりました。アメリカ人話者だけでなくネイティブでない話者も含まれていました。
第6問のA(スクリプト171語)は、食事のとり方についての対話を聴き、話者の意見に合致する選択肢を選ぶもの、そして、登場人物が決心したことを問うもの。ストーリーは把握しやすいものでした。B(スクリプト209語)は鳥にえさを与えることについての3人の会話を聴き、話者の要点を問うものに加え、複数の図表を識別するものも。テーマに関する話者の立場を理解する力と情報を整理する力、根拠となる図表を判断する力が求められました。会話の話者が4人から3人に変更されたことによって聴き取りの負担が軽減されたことは疑う余地がありません。