校長ブログ
日本人留学生
2025.02.07
グローバル教育
2月7日
日本人の米国留学は減少しているようです。米国際教育研究所(IIE)によると、中国(約28万人)や韓国(約4万3,000人)に対し、米国の大学などに在籍した日本人は約1万4,000人であり、コロナ禍より約2割減少しています。
日米の両政府が高校生、大学生の交流を支援する基金の創設などで合意しているとはいうものの、内向き志向と英語コミュニケーション不足が背景にあり、さらに、円安やインフレ、米国大の学費高騰が追い打ちをかけています。
日本人が初めてマサチューセッツ工科大(MIT)を卒業して150年を経つのを記念して同窓会である「日本MIT会」が昨年、科学や実験の楽しさを伝えるワークショップを国内5カ所で開催しました。卒業生第1号は福岡藩士だった本間英一郎という方。藩命を受けて1867年に渡米した後、土木工学を修め卒業、帰国後は鉄道普及に寄与されています。三井財閥トップとなった団琢磨らも足跡を残されています。
今、幕末期に米国へ渡った日本人留学生に光を当てる取り組みが広がっています。日本MIT会のロメインさわか会長らは、2023年からSTEM分野のジェンダーギャップ解消を目指し、女子児童・生徒向けのワークショップを開催、約300人の小中学生が参加しています。東京の会場は女子児童・生徒のみを対象とし、インターン学生を日本に派遣しています。東北地方でワークショップを実施し、今年、国内の少なくとも3カ所で開催予定とのこと。
日本人留学生に着目した動きは福井県にもあります。藩士の子として生まれた日下部太郎という方が
1867年に渡米し、東部ニュージャージー州のラトガース大に学ばれています。日本を近代化を夢見て、勉学に励み、成績優秀でしたが、困窮から病に倒れ、卒業目前に24歳で他界。大学は卒業生名簿に名前を掲載し、現地の人々により墓も建てられています。大学の先輩でもあったウィリアム・グリフィスが福井藩に招かれて来日、藩校で化学や物理を教え、大学南校(後の東京大)でも教壇に立ち、日本の発展に貢献しています。
ラトガース大は、福井大と組んで2人が築いた縁を生かそうとしています。具体的には、交換留学や互いの地元の経済や文化を題材にオンラインで共同授業を実施し、米国で学びたいと思う学生を育成しようとしています。グローバル化の波は進展しているのです。