校長ブログ
温暖化と食習慣
2025.02.24
教科研究
2月24日
地球の温暖化によって、食習慣が変わり、体調を崩すだけでなく、食中毒のリスクが高まるという新たな指摘があります。世界人口の約6割を占めるアジアでその影響が大きいようです。
WHO(世界保健機関)のレポートには、「健康と幸福を気候変動対策の成功を測る最優先の基準」に据えるべきと記されています。ロン・イン氏(東京大学准教授)は、気候変動と食生活や健康に関する論文を点検し、食中毒の影響を精査したものを科学誌に発表。温暖化の健康に対する影響については大気や水の汚染による被害、熱中症をはじめ様々な影響が挙げられています。
これまでは、干ばつや高温が農作物の不作をもたらし、食料不足や栄養失調を生む問題を生み出す点がクローズアップされてきましたが、そこに高温に伴う食品の腐敗や食習慣の変化が加わりました。暑くなると食欲が減退し、辛いものや冷たいものの摂取が増えるのは当然のこと。暑さは食品の腐敗を促すのです。
欧米でなじみがないトウガラシを香辛料に多く使うアジアの食習慣が注目されています。辛いものを食べると、冷たい食べ物の摂取が増えて胃腸を痛めるリスクが増します。食中毒は世界で毎年6億件ほど発生し、約42万人の命を奪ったとされています。
課題として、先進国の富裕層と途上国の貧困層との格差が拡大していることが挙げられます。さらに、食料や水資源の問題に加えて、脆弱なインフラは異常気象による被害を拡大させる原因になります。未整備な医療体制も同様。国際エネルギー機関によると、カンボジアでは人口の約8%、ミャンマーでは26%が電気を使えないそうです。生鮮食品の産地である農村部では冷蔵庫が十分に普及していないといません。国際医学誌ランセットには、高温によって高齢者が亡くなったり、熱中症になったりする症例が過去最高に達したと分析されています。健康格差を格差を是正するのは容易ではありませんが、最適解を求める取り組みはまだまだ続きます。