校長ブログ
共通テストの分析①:英語リーディング
2025.01.28
教科研究
1月28日
共通テストにおける英語リーディングは、大学入試センターから公表された試作問題に準拠する内容が出題されました。分量は全体で約5,600語、前年より700語程減少しました。大問数は2題増加したものの、マーク数は5つ減少しています。イラストや配置図、グラフ等を問う問題が出ましたが、難問はなく、取り組みやすかったと思われます。
出題の傾向として、リーディングを通じてライティング活動につなげようとするねらいが散見されました。大学入試センターの作成方針が踏襲され、イギリス英語の表現やつづりが本文中に見られました。
第1問は、昨年のAとBという2つの問題が1つに統合。水槽で魚を飼うのが初めての人に、その注意点がイラスト入りで説明されています。流れのゆるやかな水で生活する魚に合う水槽をイラストの中から選ぶ問題では、イラストを注意深く見て判断する必要があります。
第2問もAとBという2つの問題が1題となり、設問数は5問から4問、語数も本文と設問合わせて約130語減少しています。内容は空飛ぶクルマに関するフォーラムに参加したイギリス人作家のブログ。読みやすい内容でしたが、意見を問う問題や本文と選択肢の言い換えに苦戦した受験生がいたかもしれません。
第3問もコンテストに応募したバンド演奏での教訓についてのストーリーを読み、3つの問いに答える形式となりました。新傾向としては、物語の筆者を選ぶ問題が登場しました。出来事が起こった順に選択肢を選ぶ問題もありましたが、昨年の第5問で問われた5つの選択肢から4つを選んで時系列に並べ換えるものと同じ形式です。
第4問は、スローライフをテーマに、試作問題Bで出されたように、レポートを推敲し、4つの問いに対し、論理的な英文を完成させる形式でした。One Paragraph, One Ideaとなる英文や全体をまとめる英文を選ばせる問題が出題されており、パラグラフ・リーディングの可否が問われた良問でした。
第5問は、ボランティア学生と教授のローカルビジネスに関する会議についてのメールのやりとり。問いは5つでしたが、どのメールを参照すればよいかがポイントとなります。確実な情報処理能力が求められており、学生のメールにある進行表と教授のメールの両方を踏まえて正解を選ぶ問題もありました。
第6問は、作家志望の友人が書いた2人のスーパーヒーローというストーリーを読み、その感想を述べるeメールの空所を補充するという問題でした。物語文の出題は2年連続でしたが、本文の語数は大幅減となっています。時系列に書かれていなかったので、時間軸をしっかりおさえた読み方ができているかどうかが明暗を分けることになります。同時に、登場人物の心情の変化をおさえた読み方は物語文攻略の鉄則と言えるでしょう。
第7問は、昨年までの第6問と同じ傾向、つまり、短い科学プロジェクトのメモに関する6箇所の空所を補充する問題。今回は動物の睡眠パターンがテーマであり、口頭発表のための要点をまとめさせるものでした。本文中の表現に相当する図を選ぶ問題や具体例から的確に事象を表すものを選ぶ問題が出題されました。設問はほぼパラグラフ順であり、比較的解きやすかったと思われます。
第8問は宇宙開発について、試作問題A同様、様々な意見と資料を参考にしつつ、3段階のステップを踏みながらアウトラインを作成する問題。本文だけで800語を超え、分量は大問の中で最多となっています。ステップ1では5人の意見を読み、2つの問いに答え、ステップ2では自分の意見をサポートしてくれる2人を選び、共通点を答え、ステップ3では、根拠となるものを追加資料から選び、アウトラインを組み立てるというもの。ステップ2は空所のすべてを正解して初めて得点できるようになっています。