校長ブログ

日本の小中学生の理数学力

2025.01.25 教科研究
1月25

 国際学力テスト(国際数学・理科教育動向調査TIMSS、2023)では、日本が4教科すべてで世界トップレベルを維持しているものの、すべて得意とする割合が減り、特に、理数を得意とする児童生徒の割合が減少しています。 

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 対象は小4と中2でしたが、いずれにせよ、日本は理系人材が少なく、苦手意識が進路選択に影響している可能性があるとのこと。実施は4年に1回、今回は58カ国・地域の小学校と44カ国・地域の中学校が参加しています。日本では約7,800人の小中学生が受験しました。

 結果、平均点の順位は小4の算数が5位、理科は6位、中2は数学が4位、理科は3位であり、小4理科の順位は前回調査から2つ下げています。

 歴史的には、ゆとり教育が続いていた時代は4教科とも平均点はなかなか改善しませんでしたが、学習指導要領が改定され、脱ゆとり教育が進んでから平均点が上がり、以来、上位を維持しています。

 算数が得意と答えた小456%であり、平均から8ポイント低く、前回より9ポイント減少し、理科が得意と回答した小45ポイント下回る81%、2理科は2ポイント下回り45%となっています。

 日本ではかねてより過度な受験のための勉強が苦手意識が強くする要因と指摘されてきました。清水美憲氏(筑波大学教授)は、小4はコロナ禍に低学年期を過ごしたこともあり、議論する授業がままならず、プリント中心の学習であったことから学ぶ楽しさを感じる子どもの減少につながった可能性を分析されています。

 勉強が楽しいと感じる割合も、全教科で女子が男子を下回り、平均得点でも差があります。小4理科以外は、得意と答えた女子が男子に比べそれぞれ20ポイントほど低く、中学女子で数学・理科を得意としたのは23割しかいません。また、数学を使うことが含まれる職業につきたいと答えた中222%であり、国際平均より26ポイント低く、理科も低水準です。

 日本では理工系に進学する女子の割合は17%であり、OECD平均の27%に比べて低く、ドイツ(40%)、韓国(34%)からも後れを取り、OECD加盟国で最低クラスになっています。韓国や台湾などアジアの国・地域が上位を占めており、シンガポールは前回に続いて全教科でトップです。

 本校でも日常生活と関連したテーマを重視した探究型学習を重視し、「主体的・対話的で深い学び」に直結させることで、世界基準の学習環境を提供することによって理系人材の輩出する取り組みを進めています。