校長ブログ

漁師不足

2025.01.24 教科研究
1月24

 世界では水産業が成長し続けている一方、日本では衰退していると言われています。青森県など、北日本は冷涼で潮流も豊かな海が広がっているにもかかわらず、天然魚の漁獲減で過疎化が進んでいます。

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 小規模経営が多い日本の水産業では魚の健康管理から給餌、水揚げまでをこなすには限界があります。やはり、自然を相手にしている以上、地域と関係者と連携し、企業として、最新技術を投入して生産効率を高めたり、環境負荷の少ない現場に変容させ、世界で戦える規模にしなければ難しいのは事実。

 歴史的には、1980年代前半、日本の漁業は最盛期にあり、約45万人の漁師が過去最多の年1300万トンを漁獲、結果、自給率9割の魚が食卓を飾りました。しかし、漁獲量も漁師も7割減り、漁師は2050年に7万人になる見込み。漁獲も年々減り、漁師の多くが高齢ときています。

 10年前と比べると、サンマの漁獲量は9割減、イカは8割減だとか。不漁は資源だけでなく、とる人が減ったこともあります。漁師数は12万人とされていますが、実際はもっと少なく、65歳以上が4割となり、稼働している漁師は半数ほどの漁協も多いとのこと。水産庁は2050年代には7万人に減ると予測しています。

 アナゴ、ウニ、イクラ、ノリも減少しています。デフレが長引き、スーパーにはオランダ産の干物のアジ、東南アジア産のエビ、タコはアフリカ産のタコなど、比較的安い輸入冷凍品が並び、切り身や骨取りなどの海外加工の品も増えています。

 佐野雅昭氏(鹿児島大教授)は、少量多品種の日本の地魚は、量販店にとって売りにくい商材になっていると指摘されています。

「漁師.jp」には全国300件超の求人があり、30歳代前半の男性の志望が多く、学生も増えているものの、自然相手の重労働のため、挫折してしまう人も多いようです。働きやすいようにと就業規則を見直したり、女性用トイレをつくったりするなど、様々な工夫がなされています。

 企業のイノベーションも見られます。例えば、青森にある日本サーモンファームの養殖場。津軽海峡に給餌船と水中カメラを設置し、陸上のパソコン画面で魚の健康を管理しながら、遠隔操作で餌をまいています。データを蓄積し、体力や経験がなくても担当できるようにした結果、平均年齢は35.9歳、給料は地元金融機関と同水準になったようです。