校長ブログ

ベトナムでの街づくり

2025.01.21 トレンド情報
1月21

 京都の古着木綿商、呉服店、百貨店と発展し、2031年に創業200周年を迎える高島屋が、2027年以降、ベトナムの首都ハノイで複合商業施設を開き、街づくり事業を始めるそうです。国内では、郊外型ショッピングセンターとして東京の二子玉川での実績があります。戦前にディスカウント店や100円ショップのはしりとなる店を手掛けるなど、創意工夫で歴史を刻んできた老舗だけに注目が集まります。

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 高島屋がベトナム・ハノイで展開しようとしている街づくりが「スターレイクプロジェクト」。ハノイの中心部から北西に車で約10分の距離にあるところで進められようとしている開発計画であり、東京ドーム40個分にあたる土地に住宅や商業、行政機関などを集めるというものです。

 すでに、韓国サムスン電子の研究員ら約2,200人が働く東南アジア最大の研究開発センターが完成し、省庁や10カ国以上の大使館が移転する計画もあるとか。日本の開発援助による鉄道整備も予定されており、市内・空港アクセスもさらによくなります。全体の完成は2030年以降が見込まれており、ハノイの新しい副都心になることが確実視されています。

 ハノイでは、韓国ロッテグループがショッピングセンターや映画館、ホテルや住宅まで兼ね備えた大型複合施設「ロッテモール・ウエスト・レイク・ハノイ」を開業しています。ベトナムでは、ロッテが百貨店やスーパーなどを多店舗展開し、ハノイには地場モール「ビンコムセンター」などもあります。

 高島屋の開業は1969年。百貨店を中心に120の専門店と大型の駐車場を備え、全国に広がる郊外型ショッピングセンターの原型の一つとなっといます。当初、二子玉川はほとんど何もない地域でしたが、高島屋をきっかけに開発が進み、今では楽天グループが本社を構える街に成長しています。土地にあった街づくりのモデルとして、東武アーバンパークラインやつくばエクスプレスが走る千葉県の流山おおたかの森ショッピングセンターなど他地域にも広げており、他社と異なる事業構造となっています。

 二子玉川での街づくりのやり方が今、ベトナムで進化しているのです。キーワードは脱小売り依存。東神開発ベトナムは、富裕層や投資家をターゲットとし、北部にあるハイフォン市で進む住宅プロジェクトに出資、分譲価格は1棟当たり1億円以上の高級戸建て約1550戸を整備しています。同時に、現地の教育事業会社との共同出資で、スターレイクの開発地区に幼稚園から高校まで最大約3千人の児童・生徒が通える「バイリンガルスクール」も開校し、追加も検討しているそうです。

 高島屋はベトナムが人口の平均年齢が若く、リスクも低いことを鑑み、さらに成長する事業と位置づけています。ベトナムにもホーチミンに店を構え、2カ国を軸にして東南アで街づくり事業を拡大する方向で検討しているようです。東南アジアでは、シンガポールですでに出店、TAKA(タカ)の愛称で親しまれ、日系百貨店の成功事例と見なされています。