校長ブログ

宇宙開発

2025.01.16 教科研究
1月16

 宇宙開発が進み、人類が月や火星に降り立つ日も現実味を帯びてきたこの頃。今回は、日本人として最長の宇宙滞在記録をもち、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からスタートアップに転じ、アクシオム・スペースの宇宙飛行士兼アジア太平洋地域の最高技術責任者(CTO)である若田光一氏から学びます。

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 日本人初の船長として、国際宇宙ステーション(ISS)のトイレ故障で得た教訓が皆が活動しやすいように気を配ることの重要性。例えば、米国側のトイレが壊れ、飛行士がロシアのトイレを借りるのは抵抗を感じると言った時、ストレスを避けるために修理を優先したことを例示し、自己の経験だけに基づいて物事を判断してはいけないということ、前例踏襲は最終手段、今、何がベストかを考えることが大切と述べられています。

 クリミア併合が起きた時は、米国側とロシア側のテレビ番組を見ながら、互いが感じていることを伝えあったとか。とにかく、一人ひとりの心理状態を把握し、個々を最大限に引き出してチームとしていくことを学んだと回想されています。人類の進歩が好奇心による新たな知見の獲得と豊かで安心な生活を築いてきたからとし、歴史やデータを分析、地球の将来を予測することの重要性を指摘。そして、宇宙開発は人類が存続するための大きな意味での危機管理の営みでもあるとも言及されています。

 若田さんは、還暦を迎えてからISSや宇宙服の開発する米国スタートアップのアクシオム・スペースに転職されます。体力が続く限り、新しいことができるのではないかとワクワクしながら過ごしているとか。宇宙開発の発展には民間主導が不可欠であり、宇宙を利用するという共通理解のもとでの協働を謳われています。

 今や世界中での連携が急務であるにもかかわらず、地上では国家間の争いが絶えません。だからこそ、パートナーシップが求められ、知恵を持ち寄り、全人類が恩恵を受けられるにすべきだと述べられています。そのためには国家機関が民間企業の連携によって宇宙産業のエコシステムを確立する必要性も加えられています。

 宇宙での様々な活動が社会を支えるインフラとして欠かせない存在になっています。宇宙開発を地球環境の保全に役立て、世界を安全で豊かなものにするためにどうしていくのか、進展が期待されるところです。