校長ブログ

日本の英語能力指数

2025.01.15 グローバル教育
1月15日

 EFエデュケーション・ファースト(スイス)が発表した2024年版「英語能力指数」において、日本は過去最低の92位。グローバル化の中、求められる世界基準の英語コミュニケーション力に対応できず、英語力の低下に歯止めがかからない状況です。

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 調査対象となったのは、英語圏以外の116カ国・地域。1位はオランダで6年連続、2位はノルウェー、3位はシンガポールです。日本は前年より順位を5つ下げ、韓国、ベトナム、インドネシア、中国などを下回り、アジア23カ国・地域でも16位に落ち込みました。

 受験した約210万人の平均指数は前年より16ポイント下がった477であり、日本は前年から3ポイント下がって454。日本ではコロナ禍によって海外留学などが大幅に減少、内向き志向も重なり、英語力が急降下した1825歳の世代は持ち直したものの、年長世代での低下が目立ち、全体では下げ止まらなかった格好です。地域別に見ると、トップは関東の482に続き、関西、四国、北海道が続き、東北の440が最も低くなっています。

 中高現場でも課題はあります。文科省の調査(2023)によれば、「身近な英語を理解し、使える」英検3級相当以上が中3全体の50.0%、「日常生活に必要な英語を理解し、使える」準2級相当以上は高3全体の50.6%。ともに改善していますが、地域差が大きく、指導のあり方が焦点となっています。教育振興基本計画(2327年度)では中3、高3いずれも60%にする目標が掲げられており、今回は目標には届かなかったものの、中3では0.8ポイント、高3では1.9ポイント増。2013年に調査を始めて以来、半数に達し、当時から見るとそれぞれ17.8ポイント、19.6ポイント伸びています。

 都道府県・政令市別で見ると、中学では福井県とさいたま市が80%を超えた一方、佐賀県(30.1%)や愛知県(35.6%)など7自治体が4割を下回っています。高校では富山県(61.4%)が最も高くなっています。文科省は、生徒の英語力が高い自治体や学校では、生徒が授業中に英語を使って活動している場面が多く、教員の英語力も高く、授業における英語使用量が多い傾向もあったと分析しています。

 DX化も進められています。文科省は、コンピューターを使うテスト(CBT)を提供する統合教育情報システムMEXCBT(メクビット)に、英語レベルを測る問題100問を追加しています。そこには「話す」「書く」といった問題が組み込まれ、教員の負担を減らしながら、生徒が英語力を測ることができるようになっています。さらに、小中高・特別支援学校を対象に実証事業を実施し、AIが生徒のレベルに応じて英語で会話する教材などの効果を検証しています。必要なのは、生徒が英語を使える環境をなるべく多くすることと、教師も含めて学び続ける文化を創ることです。