校長ブログ

大学学長アンケート

2025.01.10 大学進学研究
1月10日

 国公私立764大学の学長(理事長)を対象にしたアンケート(日経)が実施され、回答を得た約7割にあたる536校のうち196校(37%)が今後、大学経営を取り巻く環境が厳しくなると答えています。

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 私学事業団(日本私立学校振興・共済事業団)の調査によると、定員割れの私立大は59%あり、1989年度の調査以来、過去最高を更新しているとか。

 文科省によると、少子化によって2050年の大学入学者は42万人に激減し、定員が今のままなら3割が埋まらなくなるとのこと。経営状況については86%が悪化すると答えており、少子化で定員割れが増えることによる再編・統合に加え、入学金や授業料値上げや教職員を減らす動きなどを挙げる大学が多いのが現実です。

 国公立大からは物価上昇のために補助金が目減りしているなど、公的支援の縮小を不安視する声があります。私大からは学位プログラムの運営以外のコストが上昇することが指摘されています。他大学との再編や統合に関心があるのは139校(26%)ですが、具体的な検討にまでには至っていないが81%と大半を占めています。

 生成AIの活用については、学部で活用しているのが半分近く、検討中・未定も3割に上り、拡大する方向性が見て取れます。使い方については、生成AIを使いこなす方法が61%、リポートや授業に臨む上での情報収集が56%、翻訳やプログラミング補助が54%と上位を占めています。活用理由は、今後、生成AIを使いこなす力が求められるが87%と最も多く、批判的思考力や創造性を高められる65%、業務効率化に活かせるの53%と続いています。

 一方、活用予定がない67校は、準備教育ができていないが42%、誤用・悪用される懸念が31%、生成AIの信頼性に疑問の27%となっています。また、利用時に懸念されることとして、レポートや論文などへの不正利用トップです。

 実際、レポートや論文作成など、不適切な使用を行ったのは67校であり、増加しています。生成AIを使用した作品提出などを踏まえ、文科省は、進化する生成AIの取り扱い指針を策定する際の留意点を通知し、結果、指針作成した大学は76%となっています。

 大学入学共通テストに新教科として「情報」が加わり、パソコンを利用した入試(CBT)を行う大学が出てきました。先の調査でCBT導入について、2割が前向きだった一方、8割弱が導入する考えがないとしています。

 CBTは動画を活用した出題や自動採点が可能になるという利点はあるものの、紙の試験より費用がかかるとされ、端末の不具合があれば再試験になるというリスクもあります。個別入試も共通テストも6割が維持と回答しています。ちなみに、国立大の入試には「情報」が加わり、6教科8科目となりますが、公立大や私立大では情報を課さず、現状維持する大学が多いのも事実です。