校長ブログ
新春インタビュー①ー英語教育
2025.01.02
カリキュラム・マネジメント
1月2日
今回は有識者との新春インタビューからの一コマをお届けします。
K:校長先生の著作物を拝読させていただき、英語教育に対する理念が「主体的・対話的で深い学び」の実現に強く根ざしているという点を強く感じました。先生は英語を単なる教科として捉えるのではなく、思考の道具として活用する姿勢を重視されており、大いに共感しているところです。これから御校に入学する生徒さんにどのような英語教育を展開されていくのかお聞かせ願いたく存じます。
校長:はい。単なる英語力の向上にとどまらず、学びを通じて自ら考え、判断、思考し、行動する力を育てることです。そのためには、学習者自律(learner autonomy)の姿勢、実践的コミュニケーション力、そしてグローバル社会での活躍を支える価値観の形成が不可欠と考えています。単に英語を学ぶというのではなく、英語を通じて何ができるようになるのかがポイントです。
K:なるほど。学習者自律としての姿勢、最も大切なことだと思います。社会に出れば自ら目標を設定し、振り返り、必要に応じて学習方法を調整する力が求められます。御校の取り組みには、未来を切り拓く力を育む萌芽が感じられ、期待値が高まります。中高生は具体的にどのような姿勢で臨めばよいのでしょうか?
校長:日々の学習を通じて、語彙・語法・文法力を地道に蓄積する粘り強さ、テキストで提示されるトピックに対して好奇心を持ち、新たな知識を自ら探究する積極性、間違いを恐れずに挑戦するリスクテイクのスピリッツというところでしょうか。当然、カリキュラム・マネジメントを通じて学びのプロセスそのものを振り返り、改善できる学校文化をより浸透させての話ですが。
K:御校ではどのようにしてコミュニケーション・スキルを育成されるのでしょうか?
校長:英語を使ったプロジェクトや課題解決型学習、つまり、タスク型言語指導(Task-Based Language Teaching)を通じて、実践的なコミュニケーション力を磨くよう方向づけています。自分の意見や考えを論理的に伝えるために、スピーチやプレゼンテーションを通じて、生徒が発信する力を育む場を提供しています。また、相手の言葉や意図を正確に理解し、適切に応答する力を養うために、ディスカッションやディベートを導入しています。学びは教えられるものではなく、獲得するものというのが根底にありますね。教科担当者には、言語の背景にある文化的文脈を理解し、相手を尊重しながら意見を交わす姿勢を大切にするようお願いしています。これはすべての教科に相通じることですが。
K:素晴らしいことだと思います。英語をツールと捉え、グローバル社会での効果的なコミュニケーションを目的とした教育を展開されているところがとても魅力的です。単語を暗記するのが苦手、文法が嫌いな生徒への対応はどのようにされているのですか?
校長:タイム・マネジメント・シートに基づくPDCAにつきると思います。本校では全生徒が作成しますが、「予定は未定」ですからどう自己調整できたかが明暗を分けます。そのためにリフレクションアワーという生徒自身による振り返りの時間と担任のコーチング面談を設けています。ここは温度差が出るところですが、生徒は進捗を振り返り、課題を見つけ、改善する習慣をつけることが克服の第一歩。また、他教科を英語で学ぶイマ-ジョン授業は、日常生活の中に無理なく英語が入ってくるので楽しみながら学べる点がメリットです。本校では英語が嫌いという言葉を耳にしたことがありません。
K:よくわかるような気がします。校長先生のブログには、海外の学校とのオンライン交流活動の様子が紹介されており、生徒たちが「生きた英語」を使う経験を積む機会が見て取れます。「学校に小さな地球を創ろう!」とおっしゃる意味がよくわかりました。育成されようとしているグローバルマインドについてもご教示ください。
校長:異なる価値観や文化に対して柔軟に対応できる多様性への寛容さ、SDGsや地球規模の問題について考え、行動する意識、異文化の人々と協働しながら課題を解決する能力などを育成するために探究学習に取り組み、国際交流プログラムやオンラインでの海外の学校との共同プロジェクトを通じて、生徒が多文化共生の経験を得られるような環境を整えています。言語は考えを伝え、他者と協働するための橋渡しとなるものです、生徒たちには、英語を使いながら相互理解の重要性を実感してほしいと思っています。「グローバル探究キャンプ」では、学年縦割りのグループでプロジェクト型学習を実施し、「校内模擬国連」の準備を始めました。生徒たちは生成AIも活用しながら事前に各自で文献調査を行い、意見をまとめ、英語でプレゼンテーションできるよう努めていました。このようなプロジェクトを通じて、到達度に応じた背景知識と課題発見・解決に向けた論理的思考力をブラッシュ・アップすることができたと思います。
K:ありがとうございます。たいへん勉強になりました。
|