校長ブログ
ノーベル平和賞
2024.12.06
トレンド情報
12月6日
日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を授与されました。日本がノーベル平和賞を受賞したのは、1974年の佐藤栄作元首相以来、50年ぶり。理由は、約70年にわたり、核兵器の廃絶を世界に訴え、核兵器のない世界を実現するために努力してきたこと、そして、核兵器が二度と使われてはならないことを目撃証言を通じて示してきたことです。授賞式は12月10日にオスロで開かれます。
日本被団協は約70年にわたり、核兵器廃絶に向けた地道な運動を続けてきました。核兵器の開発や保有などを法的に禁止する核兵器禁止条約の交渉では、約300万人分の署名を集めて採択に貢献しました。代表委員である田中熙巳さんは、受賞決定の背景にはノーベル賞委員会の核情勢への強い危機感であると指摘し、核兵器をなくすのは被爆者だけの課題ではなく、人類、市民の課題と述べられています。併せて、諸先輩が差別や偏見、健康の問題を抱えながら内外で体験を語ってきたことが浸透していったともおっしゃっています。
ノーベル賞委員会は、2009年には「核兵器なき世界」を掲げた米国のオバマ元大統領、2017年には非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に平和賞を授与し、核廃絶・核軍縮の運動を推し進めています。しかし、2022年8月には15年に続き、NPT再検討会議が最終文書を採択できずに決裂するなど、核軍縮を目指す国際的な取り組みは停滞しています。
広島県原爆被害者団体協議会は、受賞を機に、これまで以上に広島から平和の尊さを世界に発信していくと述べられています。国連など海外で原爆の脅威を訴えてきた岡山県原爆被爆者会は、オバマ元大統領が広島に訪問するなど、被爆者の訴えが受け止められつつあると感じながらも核兵器の脅威は去っていないと強調しています。佐賀県原爆被害者団体協議会は、親世代が続けてきた核廃絶の運動が、被爆から80年を目前とした時期に世界に認められたことを感謝しつつ、平和賞の受賞をきっかけに戦争はいけない、核兵器はいらないということを世界の人たちが考え直してほしいと発言されています。
厚労省によると、被爆者健康手帳を持つ人は1980年度末の37万人超から減少し、2023年度末で10万人超となっていますが、平均年齢は85歳を超え、被爆者団体の解散や活動休止が相次いでいるとのこと。被爆者の高齢化と減少に伴い、被爆と核廃絶の取り組みをどう継承していくかが問われているのです。