校長ブログ

日本の食

2024.12.28 教科研究
12月28日

 日本の農家では65歳以上が7割を超えています。現在、コメの国内需要が減っていますが、国際情勢の不安定化で輸入に依存するリスクは高まり、食料自給の重要性が増しているのです。

DSC09953.JPG

 日本ではこれまで自給率の向上を掲げ、補助金を通じて作付けの転換を促してきました。併せて、需要予測に基づく主食用米の生産量の目安を示し、小麦や大豆、飼料用米などに転作した農家に補助金を出しています。

 しかし、猛暑が原因で米不足が発生。高温障害もあり、品質の高い商品の供給量が減りました。その中でインバウンド(訪日外国人)の急増による外食などからの業務用米の引き合い増加や地震や台風に備えたコメの買い占めが重なり、品薄を招いたのです。

 新米が出回り、改善は見られますが、店頭では高値をつけているところもあり、今後も高値が見込まれている状態です。米の価格が上がれば、農家の所得向上につながるものの、それは短期的であり、消費者の米離れを加速させる可能性があります。

 海外では日本食の人気が高まり、世界的な人口増加に伴う食料争奪戦が繰り広げられています。また、地政学リスクを踏まえた食料安全保障も重要度を増しています。米を中心とした国民の生命を支える食料の供給は欠かせません。農業の担い手を支援し、海外でのも需要開拓に乗り出す政策が求められているのです。

 日本産の農林水産物・食品の海外需要はこの10年で3倍近くに増えたとのこと。特に、米や茶といった日本食の需要は拡大しています。しかし、和牛やシャインマスカットといった日本産の「海賊版」が問題となっているといった事案もあり、知的財産保護にも取り組む必要があるのです。 

 ただ、民間企業が農地を取得し、農業に参入するには自治体が国に申請し、構造改革特区として認められる必要があります。そして、農地も企業が所有者から取得するのではなく、自治体がいったん買い上げて売り渡すなど、企業が農地を取得するには高いハードルがあるのも事実。

 農林水産省によると、農業を主とした仕事にしている人口は減少の一途であり、65歳以上が占める割合は71%となり、平均年齢も上がっているとのこと。新規就農者は年間5万人前後いますが、3分の165歳以上だそうです。

 米欧に比べて見劣りする農業の生産性をどう底上げするかが課題。肥料・飼料価格や光熱費の上昇もあり、目減りは否めません。欧米に比べると広大な平地が少ない日本では、大型の農業機械で効率的に耕作する手法はとりにくいのが現状です。従って、生産性向上に向けてDXやドローン、ロボットを活用した技術革新がポイントになるはずです。

 農業政策の基本方針を示す食料・農業・農村基本法が改正され、スマート農業実証プロジェクトが打ち出されました。そこでは、AIやドローンを導入し、作業の効率化をはかり、労働時間を短縮し、その分、営業に力を入れるなどの工夫がなされる反面、高齢の生産者に新しい技術を導入し、データ分析のノウハウを浸透させるのは難しいという課題も散見されます。