校長ブログ

日本人と旅

2024.12.18 トレンド情報
12月18日

 日本人にとってレジャーといえば旅行のイメージがあります。国内旅行について言えば、コロナ禍で低迷した感はありますが、「レジャー白書」(日本生産性本部)によれば、参加率ランキングは首位になっています。インバウンド(訪日外国人)も過去最高を更新している一方、日本からの海外渡航者はコロナ前の6割程度にとどまり、国内の宿泊旅行も低調だそうです。

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 理由として、レジャーが多様化したことや円安や訪日客増による内外での旅行費用の高騰などが考えられますが、休暇取得の難しさも指摘されています。長期分散型の休暇が定着している欧州とは対照的であり、休暇の分散が進めば旅行者の満足度も観光業界の生産性も上がるという見方もあります。

 1925歳の男女400人を対象にした観光庁「ツアーセーフティーネット」における「海外旅行に関する意識調査」(観光庁、2023)によれば、海外旅行者は格安航空の就航で19年に初めて2000万人を超えたものの、パスポート保有率は19年の23.8%から23年は17.0%に低下しているとのこと。内向き志向が顕在化しています。

 内閣府調査(2018)では若者層(1329歳)の53%が「留学したいと思わない」と答えています。2割から3割台の韓国や欧米と比べると、かなりの開きがあります。欧米やオーストラリアではギャップイヤーという制度を設け、大学入学前などの若者が留学や長旅で視野を広げるチャンスが与えられています。これは1960年代の英国で始まり、英語圏に普及したもの。ドイツやフランス、北欧では有給休暇や学校休暇を分散させる工夫をしています。

 SHIBUYA109lab.の調査(2023)によれば、海外に行きたくない理由の3つは経済、治安、語学力とのこと。日本では、パスポートの発行費を自治体などが負担したり、公立学校の修学旅行費に関する上限規制を見直して海外に行けるような検討を進めたりといった動きがあります。いずれにせよ、観光政策を考える場合、基本となるのが互恵主義。相互に客を送り合う見通しがなければビジネスは成立しません。日本人の海外旅行不振に対する具体的な施策は専門的な知見に基づく精査が不可欠なのです。