校長ブログ
日本の教育問題を考える②
2024.12.31
大学進学研究
12月31日
文科省によれば、2050年の国内の大学入学者は42万人減少し、入学定員が現状のままだと3割埋まらなくなるそうです。これまでは2割が埋まらなくなると見積もられていましたが、少子化は止まらず、再編は必至の状態です。
入学者の減少は授業料や入学金の割合が大きい私立大の経営に影響します。私学事業団(日本私立学校振興・共済事業団)は、4年以内に資金ショートが懸念され、自力再生が困難なレッドゾーン、10年以上先にその可能性があるイエローゾーンなどの法人数をまとめています。
2022年度で見れば、567法人のうちレッドゾーンが16法人(3%)、イエローゾーンは85法人(15%)であり、2前年の計74法人(13%)より増えています。2024年度に定員割れした四年制私大は354校であり、全体の59%、過去最高を更新しています。文科省は、持続可能な経営をめざし、同年から5年間を「集中改革期間」と位置づけ、中小規模の私大など45校を選んで改革を支援しています。
文科省は、大学の設置認可の厳格化や再編・統合や縮小・撤退への支援など、規模適正化の方向性を打ち出しています。大学入学者は2030年には63万人になりますが、35年には59万人、40年には45万人、45年に43万人、50年には42万人まで減少していきます。結果、2023年度の定員63万人に対する定員充足率は50年には67%と7割を割ると想定しています。外国人留学生数が増加しても、50年の定員充足率は71%にしかなりません。
都道府県別で見ても大学が集中する東京、大阪、京都でも8割を割る公算が強く、地方では5割台になる可能性もあるとか。今後、規模適正化策に加え、大学院教育や情報公開、地域の人材育成や進学機会などについて議論されるそうです。規模が縮小するなら、大学の教育力を高めなければ人材の質を劣化させ、国際的な競争力の衰退をもたらす恐れがあります。各大学が教育改革を通じて魅力ある教育プログラムを打ち出すことが喫緊の課題なのです。