校長ブログ

移民国化

2024.12.20 グローバル教育
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 日本は移民国化が進んでいると言われています。外国人労働者は年々増え、居住している数は約340万人。今や、その労働力なしでは日本経済が立ち行かなくなっています。宮島喬氏(お茶の水女子大名誉教授)は『「移民国家」としての日本―共生への展望』で、すでに日本はオーストラリアやカナダを抜いて、英国と肩を並べる移民国と述べられています。

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 背景にあるのは、脱工業化など産業構造の変化と少子高齢化に伴う人口減少による労働力不足。政府は、出入国管理法などを改正し、技能実習や留学生支援などの制度を導入して、受け入れを拡大しています。

 バブル崩壊後、経済が停滞し、大量受け入れが始まりました。結果、製造現場の生産性の低迷の要因となったという指摘もあります。社会学者である永吉希久子氏(東大准教授)は、『移民と日本社会―データで読み解く実態と将来像』の中で、グローバル化などの変化に十分対応できない産業や福祉分野の歪みを移民受け入れで対応してきたものの、構造的な問題が解決するわけではないとおっしゃっています。

 世界の中の日本の経済的地位が下がっています。先進国の中では給与水準は高くなく、長時間労働などの習慣も残っています。こういった問題点の改善が行われないと外国人に来てもらえないだけでなく、若者たちが海外に出て行ってしまいます。それだけでなく、技術者やリタイア世代などの海外移住も増えています。より暮らしやすい社会を創ること。これが未来を託された我々の使命なのです。

[情報追加]日本語学校の初審査において、国に申請した72校のうち認定されたのは22校のみ。約7割が教育課程の内容が不十分さなどで不認定です。全国873校のうち申請は一部に過ぎませんが、準備の遅れが目立ちます。政府は「留学生30万人計画」(2008)を策定しており、留学生は139千人から341千人(2023)に増え、日本語学校は2倍以上になっています。教師の国家資格「登録日本語教員」も創設され、2029年以降は国家資格がないと日本語学校で教えられなくなります。日本語学校の留学生は8割が大学や専門学校に進学し、日本で就職するケースが多くなっています。日本語教育の質向上は、日本で働きたいと思う外国人の数を増やし、活躍できる場を増やすことにつながるのです。