校長ブログ
翼の進化
2024.12.19
教科研究
12月19日
翼竜は恐竜と混同されることが多いのですが、実は恐竜とは異なる爬虫類のグループ。翼は前脚の第4指であり、人に例えれば薬指を支えにして張られた皮膚の膜なのです。恐竜は後ろ脚が真っすぐ下に伸び、直立歩行しますが、翼竜は直立歩行できません。(飛ぶのが苦手な翼竜もいたようですが...)代表的なのが、8000万年前頃にいたプテラノドンなどであり、恐竜と同じ時期に絶滅しています。
鳥類は恐竜から誕生し、巨大いん石の衝突が原因とされる大量絶滅から生き延びました。近年、科学技術の進歩によって、恐竜が進化の過程で獲得した性質を転用することで鳥は空を飛べるようになったことが明らかになっています。
鳥類は世界で約1万1000種、日本列島では600種以上が観察されています。羽毛も翼も飛ぶために誕生し、前脚が翼に変化したため、二足歩行になったかのように見えますが、実はそうではないとのこと。鳥類の起源を巡る研究は1970年代に始まり、今では鳥類が獣脚類から進化したという説が支持されています。
転機になったのが羽毛恐竜の発見であり、1990年代後半から中国で羽毛を持つ獣脚類恐竜の化石の発見が相次ぎ、鳥類の誕生前から恐竜に羽毛があったことが判明しました。しかし、未だ、恐竜の羽毛の役割が解明されていないのです。羽毛恐竜の中には翼を持つ種もいたようですが、羽毛を木から木へと飛び移る滑空に使ったり、羽ばたきながら斜面を駆け上がったりといった仮説があります。
鳥の翼は羽の重ね方で面積を変えたり、隙間を空けて空気抵抗を減らしたりできます。現段階では、複雑な機能は羽毛を飛行という別の目的に転用したと見る向きが定着しています。鳥がどのようにして今の姿になったのか現代の鳥類とは異なる点がいくつかありますが、初期の形態から徐々に進化し、翼を動かすための筋肉が大きく発達するなど現代の鳥類に近づいていったようです。
鳥類の骨は軽くなるための構造をしているため、化石が残りにくく、そうした点をゲノム解析技術が補ったとのこと。様々な鳥のDNAの解読が進み、白亜紀後期にはダチョウなどの祖先やキジとカモの仲間の祖先など現生鳥類が複数の系統に分かれていたことが判明しました。約6600万年前に大量の生物が絶滅しましたが、現生鳥類の複数の系統が生き残りました。鳥類については解明すべき点が残されているのが現状のようです。