校長ブログ
読書難民
2024.12.14
トレンド情報
12月14日
本屋さんと言えぼ、かつて商店街や駅前など、街の至るところにありました。しかし、20年前と比べると、書店数は半減しているとのこと。人口が減る2050年代には、現在から7割減の約3000店まで減る可能性もあるようです。そうなると、本を購入しなくなり、いわゆる、読書難民が増えることになります。
全国で書店が減っている背景には品ぞろえが画一化し、地元ニーズに応えられなかった点がありますが、地域住民との絆を深めることで、生き残りをめざす書店も増えています。地元住民の働きかけによってイベントを開催し、書店が再開しているケースもあります。やはり、そこにはアマゾンなどのEC(電子商取引)では得られない発見があるようです。
出版科学研究所(2023)によると、書店の数は約1万900店舗あり、前年より577店減っています。これは1日1店以上の減少に相当するそうです。このペースでいくと、人口が1億人を切る2050年代には約3000店まで減少する見込みとのこと。こうなると、集客力のある大型の商業施設など、一定の集客力がないと書店の営業は難しくなります。デジタル化が進み、今やECで書籍を購入するのは当たり前の光景となり、電子書籍の市場は8年で4倍に拡大しています。図書館も増加しています。
近年は、店主の個性を重視した「独立系書店」が増え、出版取次大手の中には個人が書店を開業しやすい取引制度を始めたところもあるとか。例えば、会計ソフトのfreee(フリー)は、スモールビジネスを支援する会社の方針を発信する手段として、透明書店を開業しています。
福井県の敦賀駅前にある「ちえなみき」は全国初の公設民営の書店。2年前に開業、市が年間で約1億円を投じ、市民の居場所としての図書館と賑わいを生む書店が融合した施設となっています。週末には親子向けの読み聞かせ会などが開かれるなど、工夫された企画で、これまで約71万人が来訪しています。
出版文化産業振興財団によると、書店が1店もない自治体は現在約28%。地元に書店がなく、本を手にする機会がなくなると地域社会の豊かさが損なわれかねません。国も支援に乗り出していますが、文化発信を書店に期待する声が増えるのも至極当然です。
電子と紙の書籍は共存は永遠のテーマとも言えるもの。電子書籍にとって、書店は読者を取り合う競合相手ではなく、電子書籍を購入する入り口として重要な役割を果たしており、相互補完しています。書店が持続可能な経営を進めていくためには、エンターテインメント拠点や特定ジャンルに特化した品ぞろえなど、書店自体がコンテンツ化することも検討しなければならない時代になったのです。