校長ブログ

消防団で活躍する外国人

2024.12.13 トレンド情報
1213日

 人口減で成り手が不足する消防団ですが、近年では外国人団員が増えているとか。災害の際は避難所での通訳などで大活躍です。消防団は、消火や避難所への誘導など地域に欠かせない存在。しかし、法令上、外国人団員ができる活動内容について明確な基準を求める声があるのもまた事実です。

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 総務省消防庁によれば、外国人消防団員は今年が582名であり、統計を取り始めた2020年度と比べると2.2倍。出入国在留管理庁によると、国内在住の外国人は10年前の1.6倍に増え、昨年度末で約341万人です。

 全国の市区町村で2番目に多く、約12万人がいる横浜市の南消防団は、入団の条件として日本語で日常会話ができることを掲げ、外国籍でも加入できる「外国人防災指導チーム」を設立しています。メンバーは、中国、韓国、ブラジル、トルコに加え、中国語や英語が堪能な日本人も参加しています。

 外国人団員の役割としては、学校などに出向き、消火器の使い方や防災バッグの中身などの知識を伝えること、さらに、避難所での通訳があります。日本では台風、地震、洪水などの自然災害のリスクがあり、災害が比較的少ない地域から来た方や日本語が分からない方はいざという時、困りかねません。その意味で、伝えたいことを正確に聞き取り、的確な情報を伝え、安心安全の中で生活を送れるようにする役目は重要です。

 訪日客の急増で、比較的人口が少ない地域でも外国人の姿を見かけるようになりました。いざ、大規模な自然災害が起こると限られた職員だけでは対応に苦慮し、外国人スタッフがそれを補完する役割を果たしているのです。彼らは普段は本業があり、非常時には現場に駆け付けてくれる存在。

 消防庁(2024)によると、全国の消防団員数は747千人であり、30年前と比べると2割減。要因は少子高齢化です。近年でら定年を撤廃し、団員数は保たれてきたとはいうものの、高齢化が進む団も多く、外国人が新しい消防の担い手として期待されているのは事実です。

 しかし、内閣法制局によると、公務員の公権力の行使には「日本国籍が必要」とされており、火災現場から退去を呼びかける消防警戒区域の設定や、延焼を防ぐために建物を解体する消火活動中の緊急措置、消火のための放水など、外国人スタッフにできる活動が不明瞭という指摘もあります。つまり、非効率な働き方や古い価値観が残っているのです。消防用器具の取り扱い方などを競う操法大会では、所作の美しさが評価され、現場であまり役に立たないという批判があるくらいです。

 消防団の存在を知らない人もいるとか。ドイツでは地域との接点を重視し、大人の消防団員が小学生以上の子どもに対して散水などの訓練や工作、学校の勉強などを教えているそうです。