校長ブログ

世界の食料生産システム

2024.11.23 教科研究
11月23日

 今年の夏は、北半球で最も暑い夏となり、世界各地で干ばつなどの異常気象が相次ぎ、気候変動を感じざる得ませんでした。スマート農業などがいくら発展しても天候に左右され、世界の食料システムの変化を余儀なくされました。以前のような状況に戻る可能性が低くなっている今、安全安心を考えると、消費者が身近なリスクに対して、速やかに行動ができるような仕組みづくりが不可欠です。

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 食卓は豊かさを増し、国連食糧農業機関(FAO)によると、1人あたり1日の消費量は2985キロカロリーと約1.4倍に増えたそうです。特に、中国は小麦やコメは24倍、牛肉や豚肉は約50倍になっており、経済成長の中、穀物から肉類へのシフトも進みました。しかし、ここ数年、異常な高温や干ばつや豪雨が発生し、小麦やコメの価格は高止まり。コーヒー豆は2020年と比べるで約3倍、カカオ豆は約2.6倍に高騰しています。

 世界人口は1975年に40億人を突破してから増加の一途をたどっています。小麦の生産量はこのペースを上回り、3.6倍以上に拡大しています。こうなると化学肥料や農薬の投入、品種改良などで、いかに爆発的に増える人口を支えられるかというところに焦点が集まります。中国やロシアの輸出規制で肥料の供給は細り、環境や生態系への影響も懸念されています。

 生産された食料の約3分の1が捨てられている現状をみると、まずは食品ロスの削減が必要です。食品ロスには穀物、野菜、果物が圧倒的に多いのが現状ですが、意識改革が求められます。

 小麦などは商品の価格が上がれば、農家は増産の方向に動くのふつうですから供給が不足することは考えにくいはず。しかし、価格が上がりすぎると簡単に口にする今年ができなくなってしまいます。また、温暖化ガスの約20%農業や土地開発から排出され、森林破壊に引き起こす要因となっています。EUは森林破壊を招いた農産品を規制する措置を導入するようです。

 気候変動の影響がどこまで広がるか予測しにくく、食料価格が大幅に上がる可能性がある中、農業がいつまで増加する人口と摂取カロリーを支えきれるのか未知数ですが、知恵を絞った探究力で乗り越えなければならないのが現状なのです。