校長ブログ

東京科学大の発足と医工連携

2024.11.16 大学進学研究
11月16日

 東京工大と東京医科歯科大が統合して東京科学大になりました。大学は202210月、統合で合意し、発足に向けて準備を進めてきました。国内最高水準と認められた指定国立大学法人の統合は初めて。医療系と理工系を融合させる「医工連携」を通じて科学分野で世界で活躍できる人材を育成する総合大をめざすとのこと。

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 東京工大で副学長などを歴任し、初代理事長に就いた大竹尚登氏は、「医工連携」を押し進め、世界最高水準の科学系総合大学を目指すとおっしゃっています。具体的には、政府が創設した10兆円規模の大学ファンドで支援する「国際卓越研究大」の2度目の公募に向けて準備されています。両大学では、すでに42の新たな研究テーマに取り組んでおり、将来の国際競争力向上が期待できます。初代学長に就いた田中雄二郎氏は、医歯学と理工学を融合した教育プログラムを予定しており、学際的な学びを促進すると述べられています。理事長と学長を別々に置く体制は、1法人1大学制の国立大では初めてです。

 学生数は、理、工など6学院(学部・大学院)と医・歯の2学部など、既存の体制を引き継ぎ、約13千人となります。これまでの国立大の統合は、地方の単科大が総合大などに合流するケースでした。しかし、2019年には運営法人を統合し、傘下に複数の大学を収めるアンブレラ方式を可能とする改正法が成立。結果、名古屋大と岐阜大が運営法人を統合し、東海国立大学機構を発足させるなどを行っています。

 東京科学大の強みの一つが新産業創成研究院とその中にある医療工学研究所。ここでは産学連携の拠点を集約し、医師や研究者が連携、医療・介護用ロボットやAIによる画像診断、最先端の技術を用いた手術器具などの研究開発に取り組むそうです。さらに、基礎研究に取り組む総合研究院、人文・社会科学系の研究も含め未来の課題の発見と解決を目指す未来社会創成研究院も新設されます。

 従来の総合大学では医学部の独立性が高い面がありましたが、研究や教育で融合を進め、相乗効果を生み出していく点が最大の魅力です。日本の研究力低下が指摘されています。文科省によれば、「注目論文」の世界順位で日本は13位。新大学の研究に対する期待は高まっています。