校長ブログ

デジタル地域通貨

2024.11.14 トレンド情報
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 特定の地域で流通する地域通貨が広がっています。地域通貨は、かつて紙による発行が多かったのですが、最近では利便性の高い電子方式になっています。コロナ禍では景気対策としても注目され、デジタル地域通貨の種類は激増しました。

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 2000年代に紙の発行が多かったものの、20年以降は運用コストが抑えられて利便性も高いスマホアプリなどを使ったデジタル方式に移行しています。ちなみに、全国でのデジタル地域通貨の発行数(2023)は約230、都道府県別では福岡が26とトップで、東京と兵庫が14、群馬が13と続いています。

 都道府県単位での発行状況を集計した泉留維氏(専修大学教授)によると、デジタル地域通貨は貨幣のように流通するものから、商品券やポイントカード形式まで幅広いとのこと。

 約2万人が利用している前橋市では消費活性化だけでなく、決済データを交通政策などの街づくりに活かしているそうです。例えば、スマホアプリを使ったQRコード決済サービス『めぶくPay』。使用している同市では支払額の3%を利用者にポイント還元する仕組み。加盟店から手数料は取らず、市が費用を負担し、予算化されています。

 めぶくグラウンドは、前橋市、ジンズホールディングスや群馬銀行、日本通信などが設立、運営しています。2023年にスタートしたばかりですが、登録者は約19000人、加盟店は1300を超え、累計決済金額は17億円に達しています。めぶくPayはマイナンバーカードで個人認証する独自開発の「めぶくID」を活用します。スマホの手軽さと安全性を兼ね備えており、利用者や小売店などの安心にもつながります。秋以降には個人が特定できないようにした決済データを市や事業者に提供してよいかを利用者が選べる機能を加えるそうです。

 北海道苫小牧市の「とまチョップポイント」は、市民の居場所づくりや孤立防止などに役立てることをねらいとして、ウオーキングやゴミ拾いといった健康・環境分野を中心とした催しなどでためたポイントを約150店で1ポイント1円として使えるようにしています。

 導入がうまく進まないケースもあるようです。長野県上田市は利用者が店舗を訪れるなどしてためたコインで特別メニューを注文できるといった「もん」の実証実験がうまくいかず、打ち切っています。地産地消に活用するなど、具体的な目標を設定して地域にとっての意義をしっかりと見出せるかどうかが命運を分けることは言うまでもありません。