校長ブログ

留学生受け入れ

2024.11.08 グローバル教育
11月8日

 少子化が進む昨今、留学生獲得は、小中高大共通の課題です。実際、来日している生徒にとって、留学は目的ではなく、あくまで手段。日本は、2033年までに外国人留学生の国内就職率60%を目標に掲げています。政策を考える際、選ぶ側の目線に立って、多文化共生社会をどうつくるか。そして、就職や定住も含めた対応をどうするかが求められているのです。

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 濱名篤氏(濱名山手学院理事長・学院長、関西国際大学学長)は、直面している課題として、留学先としての日本の魅力低下を挙げられていますが、留学生の卒業後の進路を見ると、2022年度の大卒約16000人のうち、日本で就職したのは38%であり、進学者(21%)を含めても6割弱しか正規ビザを更新できていないという事実からもうなづけます。(日本学生支援機構)

 また、日本では学位(修士、博士)の評価が低いことも指摘されています。ちなみに、卒業後に日本で就職・進学してとどまる割合は修士課程修了では49%、博士課程修了では34%。(同機構)台湾では公務員と教員の7割以上が修士以上であり、学位を取得すると昇給・昇進が早くなるとのこと。公務員は週1日、大学院通学のための休暇が認められています。英国では1年で修士の学位が取得できるので、留学生は学部でなく大学院を選ぶ傾向があるようです。

 さらに、留学生問題を教育政策の範囲でしか扱っていないと言及されています。そして、留学生が国を選ぶ際に重視するものが学費、就業機会、移民可能性などであることを例示し、就職しやすくすることが重要とされています。韓国の「留学生教育競争力引き上げ方案」(2022)では、地域ごとに「海外人材に特化した教育国際化特区」を指定し、留学生の誘致を進めることが描かれています。学業支援ではインターンシップを増やし、併せて、テキストや授業のデジタル化を進め、韓国語能力試験TOPIKもコンピューターで実施したり、中小企業などに就職する場合の特典も検討しています。

 今、日本ではグローバル社会を理解し、多様な文化、価値観をもつ人々と協働できるようになることが求められています。その中で、留学生の受け入れは、産官学が協働して進める分野であることは疑う余地がありません。例えば、文科省が進める地域の「産官学プラットフォーム」を活用して有償インターンシップの機会を設け、収入の確保と就職のミスマッチ防止につなげたり、留学ビザの審査期間短縮も有効な手段。また、日本で学位を取得した留学生がフルタイムで就職すれば就労ビザを出すことを制度化するなど、まだまだ検討すべき点はあるのです。