校長ブログ
ICTを活用した大学のイノベーション
2024.11.29
EdTech教育
11月29日
GIGAスクール構想では、IT知識の習得に伴う個別最適な学びが推進され、効果検証が進められています。「端末の利活用状況等の調査」(文科省、2022)によれば、端末の利用頻度が上がるほど、興味・関心に応じた教材や課題の提供が増え、生徒と対話するケースが多くなるとのこと。今後、デジタル化の流れは益々、加速していくでしょうが、最近では、教員を目指す学生を対象に、デジタル技術を使いこなす能力を育成し、AIを活用した教育を実践したり、校務を効率化したりするのに寄与している大学があります。
例えば、岩手大学。2026年から教職員などを目指す専門職大学院で数理分野だけでなく、データサイエンスと生成AIを組み合わせたプログラムを実施するそうです。具体的には、統計学や生成AIを活用する際のデータサイエンスの基礎知識を身につけ、ワークショップなどを通じてデータ収集・分析といったノウハウを学びます。すでに教育学部の小学校教育コースで、情報教育学に関するサブコースを設置。また、NTT東日本などとともに、DXに関する教員向けのワークショップも実施されます。
「GIGAスクール構想」では、全国の小中学校などの現場をデジタル化することを目途に、パソコンやタブレットを1台ずつ配布する取り組みがほぼ達成されました。しかし、その一方で指導者側のIT技能の習熟が課題とされてきたのもまた事実。中高ではIT関連の教育は導入されたものの、肝心のプログラムづくりはカリキュラムに含まれていなかったのです。
これまで学校の教員は大学で情報の専門知識を学んできたわけではなく、それは教員養成の大学も同様。そこで、北海道教育大学、大阪教育大学、福岡教育大学は来年から共同で開設する博士後期課程のカリキュラムにデジタル分野の科目を取り入れるとか。さらに、小中高だけでなく、大学の教員を目指す学生を対象に、統計学などの知識・技能やDXの推進化といったテーマを選択必修とするとのこと。
大阪教育大学は、共同教育課程に参画し、地域連携プラットフォームの拠点として、大阪市と共同で「みらい教育共創館」を設置、産官と交流するワークショップを定期的に開催しています。滋賀大学は、教育現場や教育委員会などでデータサイエンスを活用できる人材を育成することをねらいとして、教職大学院でデータサイエンスを扱うプログラムを開始、このプログラムを修了すると、滋賀県教育委員会から専修免許状を得た上で、卒業後には教育データアナリストとして活動できるような仕組みを構築しています。
学校にICTを定着させるだけでなく、教職員のデータリテラシーを強化し、教員がデータを分析し、応用できるようにすることによって学校現場にイノベーションを起こす取り組みは今や必須項目なのです。