校長ブログ
生涯学習の場としての博物館
2024.10.03
トレンド情報
10月3日
博物館が生涯学習の拠点として注目されています。コロナ禍で激減した入館者は回復の兆しを見せており、老若男女を問わず、幅広い年齢層の人たちが参加しやすいイベントを充実させているのです。
例えば、市全体を「まるごと博物館」とする構想を2000年に打ち出した長野県松本市。地元の文化や歴史を発信する「市民学芸員」の育成に力を入れています。博物館法によれば、博物館に加え、美術館や動物園も博物館に含まれるとのこと。すでに登録された博物館とこれに準じる指定施設は1,400以上あり、法的な位置づけを持たない博物館類似施設は4,000以上あるそうです。「博物館総合サイト」(2024.8、文化庁)によれば、人口10万人あたりでの施設数は長野(4.1)、島根(3.8)、富山(3.6)となっています。
「まるごと博物館」は、市立博物館を中心として、市内にある文化や自然などを資料と見たてて市民が支えるというもの。主な活動の一つが市民学芸員の育成であり、すでに約150人が認定されているとか。なかには、地元の歴史を学び直し、市内に残る昔の紙芝居を子どもたちに読み聞かせる活動などを続ける人もいるそうです。
同市では、2023年、市立博物館を移転新築しています。総額約90億。教育委員会は、歴史や文化を大切にする市民の意識を評価しつつ、若い世代への理解をさらに進め、博物館訪問を通じて、地元の魅力に触れるきっかけづくりを促しています。
文科省によると、1億4,000万人以上(2017)いた入館者がコロナ禍で約6,500万人(2020)まで激減しましたが、コロナ前の水準に戻ってきているとのこと。その中で、島根県浜田市にある世界こども美術館では「ミュージアムスクール」や「ホリデー創作活動」などを開催しています。神奈川県の平塚市博物館は、来館者と学芸員が一緒に研究する16種類のプログラムを提供し、幅広い博物館の活動をアピールしています。
しかし、自治体の財政が厳しさを増す中、公立博物館の運営も職員不足などの課題に直面しています。浜田弘明氏(桜美林大学教授、博物館学)は、市民から信頼を得、1人でも多く利用してもらうために入場を無料にするなどを講じ、展示や参加型事業に工夫を凝らし、地域に欠かせない学びの場とすることを指摘されています。