校長ブログ

日本語教育

2024.09.25 グローバル教育
9月25日

 文科省の調査(2023.5、対象:全国1741市区町村、外国籍の小学生106,540人、中学生4万4,155人)によると、義務教育年齢にもかかわらず、通学していない、あるいは、不就学の可能性がある子供が前年より400人以上増加し、8,000人を超えているとのこと。不就学が確認されたのは970人であり、確認できなかったのが7,631人。外国籍の子供に義務はないものの、文科省は各教育委員会には就学機会の確保に努めるよう促しています。

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 海外ルーツで日本語指導が必要な小中高生は、約10年間で倍増し、2023年で約6万9,000人。そのうち、約1割が日本語の指導を受けていない現状も明らかになっています。国内の人手不足を補うために海外人材を積極的に受け入れ、それに伴い、家族も呼び寄せていることが背景にあることは言うまでもありません。当然、子どもの学びの保障の確保が求められます。

 この調査は、日本語で日常会話が十分にできない公立小中高の児童・生徒を対象にしています。前回は2021年(約5万8,000人)ですが、18.6%増加し、2012年(約33,000人)の2倍以上となっています。2023年の在留外国人は約341万人で過去最多となり、学校に通う子どもが増えています。

 母語別に見ると、ポルトガル語(20.8%)、中国語(20.6%)、フィリピノ語(15.4%)となっています。しかし、現実的には学校側の対応が追いつかず、日本語指導や教科の補習などを受けている児童・生徒は外国籍で90.4%、日本国籍で86.6%。2021年度と比べるとそれぞれ0.6ポイント、1.5ポイント減少しています。日本語教員がいない、人手が不足しているといった課題が浮き彫りになっています。高校への進学率は全中学生を8.7ポイント下回る90.3%であり、大学進学率になると全高校生を28.4ポイント下回る46.6%。高校での中退率も全高校生の7.7倍にあたる8.5%であり、日本語力が学校生活における課題につながる可能性があります。

 政府はスキルや専門性が乏しい外国人労働者の長期就労や家族帯同には慎重な姿勢を見せていましたが、受け入れを拡大しており、それに併せて、日本語指導が必要な児童・生徒が増えています。製造業や建設業、農漁業などの技能実習は、3~5年の就労でしたが、2027年には一定の技能や日本語力を身につければ特定技能に移行し、長く働ける育成就労になります。配偶者や子どもを呼び寄せられる特定技能2号も拡大しています。特定技能の外国人の受け入れについて、2024年度から5年間の上限を2倍超の82万人に設定されています。

 家族滞在として入国した子どもの場合、就労制限のない「定住者」「特定活動」の資格を取るには高校卒業が条件となります。どの国でも少子化が進み、新興国の若者をめぐる争奪が激化しています。学びの保障を提供することが選ばれる国になる最短コース。政府は「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」を改訂し、日本語学習についても、アドバイザーを派遣するといった支援体制を拡充、2026年度までにすべての児童・生徒が日本語指導を受けられることをめざしています。多文化共生社会への取り組みが急務なのです。