校長ブログ

大学の規模適正化と質の維持

2024.09.14 大学進学研究
9月14

 2023年春の入学者が定員割れした私大は5割を超えているとか。大学が規模を適正化することで経営状況を改善し、教育の質を維持できるようにするために、中央教育審議会は、少子化の状況を鑑み、大学の収容定員を引き下げやすい仕組みを検討しています。

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 現状のルールでは、収容定員は学部ごとに定められ、それに応じて教員数や校舎規模といった教育環境が決まります。しかし、定員より入学者が多すぎたり、未充足の場合、学部新設が制限されたり、補助金が減額されたりといった措置が取られます。定員割れが生じると、教職員を減らして経営の効率化をはかり、限られた財源を教育の質維持に使うことができ、また、教職員や施設を他の学部へ振り分けることも可能とされています。

 しかし、大学が一旦、定員を引き下げると、再度、元に戻したいと考えても学生確保の見通しなどを文科省に提出し、審査を受けるという手続きが必要となり、実現は難しいという認識が広がっているようです。

 私学事業団によると、2023年春、入学者が定員割れした私立大は320校。今後、2040年度頃の大学・短大進学者は毎年約23000人減少し、2023年度の入学定員に換算すると86.5校分に相当する試算されています。当然、経営悪化に伴う募集停止、経営破綻は避けられず、再編や統合、縮小や撤退などの支援が必要になります。

 教育の質の向上には、高度人材となる外国人留学生を受け入れ、定員管理を見直すことも不可欠。成績評価や卒業認定の厳格化、 授業料や公財政支援のあり方なども同様。人口減が進む地域については産官学が連携し、国が司令塔機能を果たす組織を整備する方向が議論されています。2024年度中にまとめられるという答申が注目されます。