校長ブログ
東京の出生率0.99
2024.09.13
トレンド情報
9月13日
東京都の女性が生涯に産む子どもの数が1人を割り込み、0.99になったそうです。(ちなみに、都道府県で最も高い出生率1.60の沖縄県でも出生数は約1千人減っています)理由としては、独身女性が就学・就業を契機に東京に流入して数値を押し下げたとされています。しかし、東京では子どもが多く生まれており、地方の状況はより深刻との見方もあります。
厚労省によると、全国平均は1.20と過去最低ですが、東京都の合計特殊出生率は0.99と全国で唯一1.0を下回っているとか。合計特殊出生率は、未婚を含む15~49歳の女性を分母、出生数を分子として計算しています。東京には大学や企業が集結しており、進学や就職で多くの若い独身女性が転居してくるため、分母が膨らみ出生率は低くなる傾向にあるのです。
2023年は15~24歳の女性は7万2千人が東京に転入しており、転出を差し引くと約4万人が実際に増加した数。これがなければ東京の出生率は1.0を上回っていると考えられています。併せて、勉学や仕事を優先する人が多くなっていることで結婚や出産の年齢が高くなっていることが指摘されています。国土交通省(2020)によれば、東京に移った女性に理由を尋ねたところ、希望の進学先、職種や待遇の良い仕事が見つけやすいというのが最も多かったそうです。
国立社会保障・人口問題研究所によれば、50歳時点の未婚率は東京都が23.8%であり、全国平均の17.8%を上回っています。しかし、過去10年間の出生数の減少率は2割程度であり、都道府県で最も緩やかだったとのこと。東京の場合、職場とのアクセスが便利であり、共働き夫婦にとって子育てしやすい環境にあります。また、子育て支援が充実していることも挙げられます。
しかし、都心部は家賃や生活費が高く、収入によっては出産を機に郊外に移り住む世帯が多くなっているのもまた事実。総務省(2023)によると、東京からの流出超過数は年齢別で0~4歳が最も多く、転入超過数が多い自治体は、さいたま市、東京都町田市、神奈川県茅ケ崎市となっています。
地方では高齢化や過疎化が進んでいますが、合計特殊出生率が改善している自治体は少なくありません。例えば、長崎県五島市や京都府宮津市などでは一時、平均出生率が上昇したものの、出生数は減少しています。しかし、若い女性が都市に転出したため、分母となる女性の数が減り、出生率が改善したようになっているというパラドックスが生じています。少子化の解消に向けて、様々な課題を克服するには実情に合わせた複眼的な視点からのチャレンジが求められているのです。