校長ブログ

デジタル活用が進む海外大学

2024.08.24 EdTech教育
8月24日

 教育のデジタル化と言えば、マサチューセッツ工科大(MIT)が想起されますが、同大のクリストファー・カポゾーラ教授(歴史学)は、オンラインの活用によって世界中の人々に質の高い教育を提供することができるようになると強調されています。

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 MITはオンライン上であらゆる講義資料を公開するなど、前向きな取り組みを進めていますが、MITで学びたい人のために、講義を無料公開するMOOC(ムーク)をスタートさせ、キャンパスで起きていることをアクセスが限られていた人に機会を提供し、世界中の人々と共有しています。

 修士課程の前半をムーク、後半を通学にするマイクロマスタースを導入し、社会人から注目されています。対象を25歳から40歳とし、データサイエンス、金融などの5コースを設定、通常よりはるかに速く、少ない費用で学べるので100万人以上が受講しています。

 生成AIについては、学生が必要な知識とスキルを身につけるためには不可欠であり、学習の効率化という意味で、オープンな議論を通じて不信感をなくすことが重要としています。実際、MITでは3分の1の教員が生成AIを活用して教育の変革につなげているそうです。

 州立大では最大規模のアリゾナ州立大(ASU)が教育のデジタル化を進めています。入学部門などを指揮するマット・ロペス氏によれば、学生の学力や希望に適した科目を自動的に割り出して助言するシステム「eアドバイザー」を導入しているとのこと。まさに、必要とする授業を必要なタイミングで受けられるオンラインによる個別最適化です。同大は、この10年で急成長し、対面とオンラインで学ぶ学生は17万人に及んでいます。

 学生の履修データは蓄積され、それに基づいて様々なサービスが提供され、4年間で卒業する割合はeアドバイザーを導入する前に比べて20%近く上昇しているとか。今後は、自分の興味・関心のある分野、最短で取れる学位、費用が最も少なくて済む方法などが表示結果に基づいて選べるようになっていくようです。すでに、Chat(チャット)GPTを開発したオープンAIと提携しています。教職員にはAIを教育に使うよう提案し、アイデアを募っています。

 生成AIを積極的に導入する背景には、新技術が成果を高めるという認識があり、業務や学習を効率化が明白な以上、導入をためらわない積極姿勢と受け入れ態勢がキャンパスに整っているからだそうです。