校長ブログ
理系拡充のうねり
2024.08.13
大学進学研究
8月13日
大学と高等専門学校の理系拡充を促す事業が進められる中、文科省は85大学・11高専の計96校を選定したと発表しました。大学が約50にも及ぶのは初めてのことであり、2028年度までに理系定員が19,000人増加することになります。
大学・高専の理系拡充事業では、デジタルや脱炭素に関する学部の新設なへの助成と高度デジタル人材育成に向けた大学院の定員増への助成が挙げられていますが、さらに、クオリティーの高い提案に最大10億円を上乗せするハイレベル枠もあるとか。
2回目の選定で選ばれた96校のうち、28大学が初めて理系学部をつくる計画であり、1回目と合わせると49大学。2度の公募で選定された大学は計190校あり、大学全体の2割超にあたります。再編後の学部・学科の系統はデジタル系が86%、環境系が37%だそうです。高専は台湾積体電路製造が熊本、ラピダスが北海道に進出したことに伴い、半導体人材の育成を掲げている熊本高専、苫小牧高専、旭川高専はじめ11校が選ばれています。
年間約62万人に及ぶ日本の大卒者のうち、理工農を含む自然科学系の学位取得者は約21万人であり、全体の35%にあたります。これは、英国の45%、ドイツや韓国の42%と較べると低いものになっています。目下、デジタル人材不足解消は喫緊の課題であり、教育未来創造会議は理系の学生を2032年度までに5割に引き上げる目標を掲げています。
当然、課題として教員の確保という問題も出てきます。コンソーシアムが国公私立の364大学に尋ねたところ、数理教育は5割、AIは6割が教員不足と回答(2020)しています。私大の情報系学部の志願者は2024年春、前年に比べ92%に減少しています。情報系学部の人気がすでに下降気味を指摘する予備校もあります。文科省は大学進学者の裾野を広げるため、デジタル教育の拠点としてDXハイスクールに指定しました。(本校も指定されています)ICTを活用した文理融合による教科横断的で探究的な学びを実践することによって、理系学部の進学者を2028年度に2万人増やすことを目途にしているのです。