校長ブログ

テクノロジーが文明を牽引する?

2024.08.10 EdTech教育
8月10日

 米国のオープンAIのチャットGPTは、想像を上回るペースで進化し、人々の暮らしや社会のあり方を変え、人間らしさという概念を揺るがすほどの影響を及ぼしています。

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 オープンAIの元社員であるレオポルド・アッシェンブレナー氏によると、2019年の基盤モデルGPT-2で動作する知能は幼稚園児レベル、2020年のGPT-3は小学生レベル、2023年のGPT-4は到達度が高い高校生レベルだそうです。

 GPT-4に東大の入試問題を解かせたところ、理系数学は120点満点で無得点であったものの、5月公開のGPT-4oに同じ試験を受けさせると24点とったそうです。(日経+ライフプロンプト)テクノロジーは飛躍的に進歩しており、いずれチャットGPTが人間の知性を圧倒すると言われる所以です。

 当然、人間を超えるAIを正しく制御できるのかという疑問が生まれます。連動するように、実用化が始まったクローンペットは?長寿の技術は人々を幸せにするのか?等々、根本的な問題としてテクノロジーが文明に与える影響について考えざる得なくなります。

 マイケル・サンデル氏(ハーバード大学教授)は、本当の問題は、AIによって現実と仮想の区別を失うかどうかだとおっしゃっています。確かに、AIが生成するものは本物に似ており、大統領選が迫る米国では偽の音声通話が有権者の投票をかく乱するなど、民主主義の根幹を脅かす問題も発生しています。また、イスラエルの現地メディアが軍隊がイスラム組織ハマスとの衝突で、空爆の標的を選ぶためにAIを使っていると報じる例もありました。

 思考、判断、表現することが人間だけのものではなくなる可能性のある未来には、否応なしに、技術そのものが倫理的であることが求められます。テクノロジーが人類の文明を牽引する世代において、人類と地球の命運を握るのは人類の知性と理性であることは否定できないことなのです。