校長ブログ

神戸大発スタートアップ

2024.08.09 トレンド情報
8月9日

 神戸大発スタートアップのバッカス・バイオイノベーションは、ものづくりに役立つ微生物の開発期間を10分の1に短縮するそうです。そのために、補助金を活用して施設を拡張、自動ロボットを導入することで開発速度を上げ、メーカーのニーズに応える体制を整えるとのこと。

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 微生物を使って廃棄物から有用物質を生産するバイオものづくりは、脱炭素の点からも開発が活発になっています。バッカスは、バイオとデジタルの技術を駆使して遺伝子を改変した微生物スマートセルを効率よく作り出すことを手掛けているのです。

 スマートセルの開発は、設計・構築・評価・学習の4つから成り、設計データをコンピューターでつくり、ゲノム編集などの技術を用いて微生物を作るというもの。そして、目標とした微生物ができたか否かをチェックして性能を評価し、その結果を学習して次の設計に活かしていきます。

 バッカスは、要望に応じた微生物を開発する技術を身につけており、ポートアイランドの開発拠点を約1,500平方メートルから3,000平方メートル以上に広げ、1台約5億円のロボットを5台程導入。結果、従来のロボットなら1週間に数十しかできなかった実験を数百単位でこなすことができ、開発スピードが格段に上がるそうです。 

 分析速度を高めるためにはAIを活用。微生物が生産した物質が目標とする質に相当するのか、また、適切な量かなどの項目を評価したり、分析したりすることによってデータ化し、適切な遺伝子設計に活かします。ふつうなら20年以上はかかるとされるスマートセルの開発を数年間に縮めてくれます。

 他社と共同で進めているプロジェクトでは、ポリマーを量産し、微生物が体内に効率よくCO2を取り込める遺伝子に改変しようとしています。併せて、補助金を獲得し、施設を増強するだけでなく、10社以上が出資しています。医療バイオ関連企業の集積を進める医療産業都市である神戸市は、バイオものづくりの中核企業への期待が高まっています。企業の要望に合わせて微生物を開発し、生産量に応じてライセンス料を受け取るという仕組みを構築することによって依頼件数は増えているそうです。