校長ブログ

感動体験

2024.08.01 トレンド情報
8月1日

 経済的な理由によって教育環境の格差が問題視される中、日本では、8人に1人の子供が相対的貧困に直面していると言われています。

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 巨額の赤字に苦しむソニーグループを再生し、最高益をもたらした元社長の平井一夫氏は、子供たちに感動体験の機会を与えることが最重要とおっしゃっています。ビジネス界から引退し、新しいステージでは教育界に身を投じ、感動体験の多い子供は、大人へ成長する過程で、より多くのものを吸収し、それを生きる力に変えることができると考え、一般社団法人「プロジェクト希望」を立ち上げています。

 少子化が深刻な日本は、将来の担い手を育てることを目標とし、どうすれば勉強したいと思うか、どのようなきっかけを与えれば、将来のことを考えるようになるかは、感受性か豊かな小学生時代の感動に他ならず、その体験の格差を是正すべきと述べられています。

 ご自身が少年時代の多くを米国、カナダで過ごし、ドライブ旅行、スポーツ観戦、映画などの体験が人生にプラスになったことを振り返り、今の子供は昔に比べて、受験などで忙しく、小学校時代に文化的活動によって感動する機会が減っているのではないかと言われています。

「プロジェクト希望」には、3つの軸があり、1つ目は親子で共通の体験をして、絆を深めてもらうことを目途に、ディズニーランドや有名歌手のコンサート、映画、スポーツの観戦などに親子を招待しています。2つ目は将来につながる体験として、ゲーム制作やテレビ番組の現場などに連れて行き、将来、こんな仕事をしてみたいと思うような体験を企画しています。3つ目は世界観が一変するような体験として、沖縄の子供たちを冬の北海道に連れて行くなどの感動体験を与えています。

 政府も教育格差の是正に向けて、奨学金制度を拡充したり、授業料の無償化などを進めています。しかし、子供たちが感動し、それを学ぶ意欲や生きる力に変える支援は取り組みが遅れており、その点は民間が主導しないと実現は難しいことを認識しています。

「プロジェクト希望」は同氏の資金ですべてが賄われていますが、今後、富裕層に特別な体験を用意することで寄付を集める海外の仕組みを導入し、収入源を厚くしていくとのこと。海外では世の中の役に立つ寄付で満足感が得られるため、ステータスになっているそうです。日本にはそのような文化はありませんが、資金の出し手にも感動を与える機会を提供することができればなんらかの変化が起こるかもしれません。

 大切なのは、子供たちが将来の夢や希望を持てる環境を創ること。学校でも子供たちの歓声や笑顔、目の輝きを目の当たりにすると教師もワクワクします。子供たちに感動体験を贈ると同時に、私たちも多くの感動を子供たちからもらっています。その積み重ねが日本の明るい未来につながるのではないでしょうか?