校長ブログ

これからのICT教育

2024.08.05 EdTech教育
8月5日

 GIGAスクール構想は、11台端末を達成し、機器の普及や教材のデジタル化を果たしました。今、文科省や経産省は、児童・生徒の主体性をさらに育て、多様な学びができる「NEXT GIGA」を構想、人材不足や自治体間格差などの諸問題に対し、産官学の連携を強化し、学校教育デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。

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 科学技術の進歩に伴い、電子決済やIoT家電など、ICTが身近になり、社会構造も変容しています。今や予測不可能なVUCA(ブーカ)の時代、教育をとりまく環境は形を変えていくでしょうが、情報や技術をツールとして主体的に活用し、思考力、判断力、そして、表現力につながる力をつけることが重要です。

 学校現場でも画像や動画教材による視覚的な学び、クラウド上での共同編集やビデオ会議による意見交換などが可能になったことによって、児童・生徒は興味や関心の対象を広げ、「主体的・対話的で深い学び」が展開できるようになりました。

 日本ではIT教育の強化を進めていますが、機器の導入や事例の共有にはまだまだ課題が散見されます。こうした問題意識を踏まえ、文科省が2019年に掲げたのがGIGAスクール構想であり、Wi-FiLAN整備に向けて、総務省や経産省などでも補助事業が措置されたのは周知の通り。しかし、コロナ禍による一斉休校で構想は大幅に前倒され、2023年度には、すべての自治体で11台端末が実現したのです。

 文科省の寺島 史朗氏(初等中等教育局学校情報基盤・教材課長 学校デジタル化プロジェクトチームリーダー)は、OECDの学習到達度調査(PISA2022)において、日本がトップクラスになったのは、ICT機器を活用した授業改善やコロナ禍による休校期間が他国より短かったことを示唆しています。

 GIGAスクール構想の次の課題として、個別最適な学びに加え、他者との協同的な学びの充実があります。同時に、基礎・基本を定着させ、探究学習の素地を築いていくことが挙げられます。ICT機器の利活用に地域や学校間で格差が生じつつあることも指摘されています。ICT機器をうまく活用している学校は、全体で認識を共有し、外部の力を活用しながら、改革に取り組んでいます。

 経産省の五十棲 浩二氏(商務・サービスグループ サービス政策課 教育産業室長)は、自主性を育むビュッフェ型の学びと形容し、ICTの利用率は上がっているものの、自主的な調査や創作活動は途上段階にあるとし、与えられ学びだけではなく、多様な選択肢の中から自らの学びを選択し、探究することが不可欠とおっしゃっています。

 経産省は、越境を促し、選択肢と出会いの機会を増やし、産業界や地域コミュニティーとの関わりを通じて、子どもたちが選択できる学びの幅も増やしたいとのこと。これまでの教育が全員一律の幕の内弁当的な面があったとするならば、今後は自ら選び取るビュッフェ的な学びへと転換し、教員にはそれをサポートすることを求め、企業と教育現場とを結ぶエコシステムの構築をめざしています。