校長ブログ

AIとロボの融合

2024.08.08 EdTech教育
8月8日

 チャットGPTをはじめとする生成AIが人間の知性を超える日は近いとする見方がありますが、AIが人間と同じように自律的に物事を考えて判断することができるようになる日が来るのでしょうか?確かに、現在の生成AIはナチュラルな対話はできますが、質問に対する応答として確率が高い単語を並べているにすぎません。しかし今、その壁を打ち破るべく、生成AIとロボットを融合させる動きがあります。

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 ヒト型ロボットを開発する米国のフィギュアAIは、オープンAIとロボット向けの次世代技術の開発で協働しています。例えば、コーヒーマシンの使い方について動画を学習させ、その動作を改善する技術開発に成功したとか。つまり、人の動きを学習することで指示がなくてもミスなくコーヒーを入れることができるようになったのです。同様の研究をグーグルや電気自動車大手のテスラ、ロボット・スタートアップのボストン・ダイナミクスなどとも進めています。

 生成AIは頭脳部になりますが、ロボットという身体を持つことは身体性という考え方につながります。人は身体の動きや五感を通じて、見たものや触ったものを認識します。生成AIにも同じような経験をさせるには、ロボットという身体とセンサーが必要という着想に至るのです。

 生成AIはインターネット上の膨大な情報を学習しています。その知識量は人が一生かけても学べない程のレベルですが、そのデータは経験に基づく知識や感覚に対応しているわけではありません。その証拠に方向感覚や空間認知といった人間が備える能力は驚くほど弱いそうです。しかし、生成AIに目、耳、そして触覚にあたるものを搭載することができれば、データと感覚が対応できるようになり、さらに、体験した状況や行動の結果をデータとして蓄積すれば、学習履歴から次に何をすればよいか推測し、行為として実現できるようになるかもしれないのです。

 現在の生成AIの大規模言語モデルが触覚の情報を処理するのに適しているのかどうかは未知数であり、様々な情報をひとまとめに処理できる技術もまだまだブラッシュアップが不可欠であることは疑う余地がありません。生物には身体があり、繁殖に必要な進化を続ける過程で知能を身につけたとされています。知能が先行し、進化し続けるAIが身体性を獲得した場合、どのような発展が見込めるかはまだわかりませんが、直近の課題であることは間違いありません。