校長ブログ
関西の本屋さんの取り組み
2024.07.25
トレンド情報
7月25日
本屋さんが減少傾向にあります。日本出版インフラセンターによれば、全国の書店数は過去10年で3割減少しているとか。近畿2府4県では和歌山、奈良、京都、滋賀が全国平均より低くなっています。そのような中、地域に開かれた書店をめざし、様々なイベントを行い、独自の店舗運営で特色を発揮しているところがあります。
神戸市の垂水駅近くの商店街にある流泉書房では毎週金曜日になると夕方から「子どもによる子どものための読み聞かせ」が行われています。すでに250回を超え、毎回、子どもたちが持ち寄った絵本などを読み合っているそうです。強みは地域密着に他なりません。店内には「私たちの町の作家」というコーナーが設けられ、地元出身の筒井康隆氏や松宮宏氏の小説や大竹英洋氏の写真などを並べるなど、工夫されています。
奈良駅から徒歩10分ほどの「ふうせんかずら」は無人書店。登録して取得したIDをテンキーに打ち込むと入店できる仕組みとなっています。人目を気にせず、本と向き合えるところが好評であり、数時間滞在する人もいるようです。もう一つの特徴として、書棚を貸し出すシェア型での運営があります。ここでは約30平方メートルのスペースに約60組の「棚主」が自ら選んだ本を並べて販売するというもの。すでにすべての棚が埋まり、空きを待っている人もいるというからビジネスとして成功しています。
和歌山市にある「本町文化堂」は、店舗で定期的にイベントを開催。洋裁学校だったビルを改装して移転オープン、1階の店舗で新刊と古書を販売し、イベントスペースとなっている2階ではミュージシャンや僧侶などをゲストに招き、書籍や地域についてのトークを収録するだけでなく、落語会、音楽ライブ、映画上映会、トークイベントなどを開催しています。書店が文化の発信地となり、人と人との交流も生み出しています。
京都市を中心に40の直営店を有する大垣書店は、経営が厳しい書店の再建を手掛け、北海道の3店舗を引き継いで営業を再開させ、広島県などで10店舗を展開する廣文館を子会社化しています。経営を効率化しようと在庫を減らすと品ぞろえが悪くなり、結果、売り上げ減少を招いているという指摘も踏まえ、本を読む環境づくりを進め、良い棚を作ることに注力しています。