校長ブログ
生成AI活用した論文執筆
2024.07.19
EdTech教育
7月19日
国際的に評価の高い科学論文と言えば、『サイエンス』や『ネイチャー』が想起されますが、日本の論文が量と質の両面で伸び悩んでおり、研究力が低迷していると言われています。研究者にとっての課題は、言葉の壁に加え、論文の構成力とのこと。今、生成AIをツールとしたノウハウ構築に向けた取り組みが進められています。
400名以上の研究者を対象にした「AIツール利用に関するアンケート」(カクタス・コミュニケーションズ日本法人)によると、1年前と比べ、論文を執筆するのにAI活用が増えたと答えた割合は75.0%。英語論文の執筆スピードが上がったが87.6%、研究にかかる時間が削減できたが72.8%、論文本数が増加したが68.5%であり、効果が見られます。
AIツールは、翻訳ソフトのDeepL、チャットGPT、グーグル翻訳が上位3位。やはり用途は、日本語で下書きした原稿の英訳や言い回しがナチュラルになるような添削ができるところ。AI翻訳の精度も日進月歩であるため、日本語で内容を推敲する時間がとれるのが大きなメリットのようです。
米国の大学では論文編集の経験者を雇い、内容をチェックするスタッフを研究室に配置するケースが多く、様々な助言を得られる機会が与えられているため、国際会議等でのジャーナルでも多く取り上げられているのは事実。効率のよい分業体制によって、研究者は多くの時間を研究に充てることが可能になっているのです。
生成AIの強みを考えたとき、翻訳機能や表現をブラッシュアップするだけでなく、論理展開の構成を工夫することで、強調したい点を印象づけるなど、さらなる活用の仕方が考えられます。現段階では、生成AIと人による助言を組み合わせた形が現実的と言われており、その延長線上で論文の書き方を学習した生成AIが研究者をサポートするのが最適解とされています。
実際、研究成果を投資家が評価する際、ふつうは論文を参照します。つまり、論文が研究力を測る指標になっているのです。その意味で、生成AIがインパクトファクターとなりうる論文を作成するツールとなるニーズは益々高まっているのです。