校長ブログ
中3生の英語力
2024.07.16
教科研究
7月16日
毎年、全ての公立の小中高校を対象に英語力を調査する「英語教育実施状況調査」(文科省、2023.12)によると、英検3級相当以上の英語力がある中3は全体の50.0%、準2級相当以上の高3は50.6%となっています。ともに改善しているものの、地域差は大きく、教員側の英語力向上が課題となっています。3級相当とは中学卒業程度であり、「身近な英語を理解し使える」レベル、準2級相当はは高校中級程度であり、「日常生活に必要な英語を理解し使える」レベルとされています。
この調査は、各級以上を取得している、もしくは、教員が「相当する英語力がある」と判断される生徒の割合を調べたもの。教育振興基本計画(23〜27年度)には中3、高3いずれも60%にする目標を掲げられており、今回は目標には届かなかったものの、中3は前年より0.8ポイント、高3は1.9ポイント増えており、共に調査を始めた13年度以降で初めて半数に達しました。数値で見ると、それぞれ17.8ポイント、19.6ポイント伸びていることになります。
都道府県・政令市別でみると、中学では福井県やさいたま市が80%を超える一方、佐賀県(30.1%)や愛知県(35.6%)など7自治体が4割を下回る結果になり、高校では富山県(61.4%)が最高であり、最下位と約20ポイント差をつけています。
英語力が高い自治体や学校は、生徒が授業中などに英語を使って活動している割合が高いだけでなく、教員の英語力も高く、授業での英語使用量が多い傾向があります。つまり、英語を使う環境が整えられていると言えます。指導者側の力量が生徒の英語力に影響すると考えられています。例えば、さいたま市の中学では英検準1級相当以上の教員は全国平均44.8%に対し、56.3%であり、授業の半分以上が英語である割合は68.4%に対し、94.4%となっています。
教員の英語力を補うためにDX化が進められています。文科省はコンピューターを使うテスト(CBT)を提供する統合教育情報システムであるMEXCBT(メクビット)に、英語レベルを測る問題100問を追加し、「話す」「書く」といった作問の負担を減らしています。また、AIも活用し、今年、小中高・特別支援学校の約1万6000人を対象にした実証事業を実施し、到達度に応じて英語で会話する教材などの効果を検証します。
2025年度から使われる英語の教科書には2次元コードが盛り込まれます。英語教科書は発音チェックのためのリスニング教材や会話の手本動画、意見を書き込むシートなどが大半のページにQRコードが載り、その数は中1教科書の現在約1.6倍。教科書のデジタル化は海外の方が先行しています。韓国は小中学校の9割超がデジタル教科書であり、映像や音声が流せて、辞書機能が搭載されているものもあり、今後はAIを搭載した教科書の導入も予定されているとか。シンガポールでは視覚や聴覚が刺激されることによって学習意欲が向上する効果があったそうです。