校長ブログ
デジタル系人材
2024.06.17
大学進学研究
6月17日
女性の理系人材が不足しています。総務省(2023)によれば、日本の女性研究者の比率は17.8%であり、米国(33.4%)、フランス(29.9%)、ドイツ(29.4%)に10ポイント以上の差をつけられているとのこと。お茶の水女子大学副学長で、理系女性育成啓発研究所所長である加藤美砂子氏は、苦手意識が理系進学を阻んでいると指摘されています。同大は今年から高校生数千人を対象にして、進路選択の相談相手や時期、情報収集の方法について調査を始め、来年以降に公表するようです。
現在、女性の情報系学部への進学増をめざす大学が増えています。中村宏氏(東京大学院情報理工学系研究科研究科長)は、日本ほど情報学を専攻する女性が極端に少ない国は珍しいと言われています。東京大で情報学を専攻する女性は修士で全体の6%、博士で9%だそうです。
内閣府(2022)によると、日本の大学の入学者に占める女性の割合は自然科学系27%、工学系16%であり、OECD加盟国内で最下位。ICT系の上位国は女性が3割程度を占めています。東京大、東北大、東京工大、北海道大など、国立8大学は情報学の魅力を発信するイベントを開催しています。明治学院大は情報数理学部を新設し、教員の3割は女性にし、ロボット研究で活躍する女性研究者も採用し、デジタル人材の輩出を目途に、女性比率は4割を目指すそうです。
情報系学部の入試で女子枠を導入する大学も増えています。広島大は2025年度の入試から情報科学部で15人の女子枠を設け、文理融合型の学びに取り組む学部では学校推薦型選抜を利用した入試にします。和歌山大は今年度の入試からシステム工学部で学部定員290人のうち10人の女子枠を設けています。
生成AIの進展によってデジタル人材が益々、必要になってくることは自明。経産省は2030年に約79万人が不足すると試算していますが、システムやアプリの開発で多様な目線が不足するとサービスの質が低下するとされ、女性のデジタル人材育成が急務とされているのです。